「 あなたッ 行こか びょーいん 」
『 あ、今日行かれへん。 』
「 え、なんで? 」
『 バイト。』
「 え、でも昨日行くってゆうとったやん 」
『 恭平がサボるから 』
「 きょッ… わかった。俺だけ行くわ 」
『 うん 』
バイトなんてない。
恭平がサボるのは事実やけど←
家に帰った。まっすぐ。
なんで私が言われなあかんのやろ
知らんし。
重岡、目覚ましたかな
元気になってるんやろか
なんか、考えてまうな
あの時と同じや
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三年前
『 はま…だ…? 』
横断歩道の信号は青やった。
そやから渡ったのに横から車が来た。
濵田は私を押した。
振り返ると濵田は倒れてた。
ただ助けを求めることしかできひんかった
クラスの子からは
お前が一緒におったから濵田が。
あなたちゃんが怪我すれば良かったのに
自分でも分かってた。
ちゃんと確認してから渡ればよかった。
でも、濵田は違った。
「 あなたは悪ないから自分を責めやんといて 」
病室のベッドでそういった。
だからその時何も出来へんかった分
濵田に返そって思う。
これであの女子に負けたら同じになるやろか
重岡も後悔するやろか。
『 行こッ 』
着替えて家を飛び出た。
『 重岡ッ 』
重「 あ、来てくれたん?嬉しいわ〜 」
いつものように笑ってた。
なんか、こっちまで笑えてくる
重「 あ、笑ったッ! 俺初めて見たで笑顔
普通の時も可愛ええけど笑うと3割増し 」
『 うるさい。』
「 照れてるやん 」
『 ほっぺツンツンすな 濵田。 』
「 崇裕やろッ! 」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。