一つだけ絵馬が黒く染まっている。
その絵馬をマッチ箱のヤスリでこすった。
すると、彼岸花が一本浮かび上がった。
そして、参道の方に行った。
確か、こっちの狛犬がお腹空いてたって
言ってたっけ?
おまんじゅう持ってるし、あげようかな。
なんか、僕食っちゃっいけないみたいだし。
僕も空いてるけど。
犬の置物をもらった。
あと、もう片方が酒飲みたいって言ってたっけ?
どうやってお酒をあげようか。
楼門の右側の箱のダイヤルに、
絵馬に描いてあった彼岸花の数をいれた。
すると、箱は開いて、木槌が出てきた。
拝殿前に行くと、酒樽の上に木箱があった。
それを木槌で割ると、キツネの置物が出てきた。
これも大事だろうけど、
求めてるのはこれじゃない……。
末社というところに行き、ロウソクを持った。
賽銭箱の下に何か無いのか探してみると、
湯のみが見つかった。
そして、小槌で酒樽を割って、酒を少し入れた。
それを参道にいる吽形の狛犬に渡した。
恩が重い……。
棚を開けたいのは山々だが、
もう一つ、ヘビの置物が無い。
色々探してみるかぁ。
末社の岩のくぼみにお守りをはめ込んだ。
すると、お守りがぼんやりと光を放つ。
イミゴが触れないように覆いかぶさった。
末社にあった大きな岩が砕けていた。
目の前にはたくさんの彼岸花が咲き誇っていた。
少し奥に行くと、ヘビの置物が落ちていた。
その下に、何かが埋まっていた。
しかし、鏡面は黒ずんでいて何も映さない。
裾で拭き取っても汚れは落ちなかった。
楼門の棚に行き、全ての置物を、
吽形の言っていた通りに置いた。
すると、鍵が開かれ、扉が開いた。
そこには、花火が入っていた。
コイツも意外と年相応……それ以下だな。
ジェルと莉犬に花火セットを見せた。
そして、手水舎の前に移動した。
思いの外、大きな花火が打ち上がった。
手当り次第花火を打ち上げて遊んだ。
莉犬が指を指す方向を見ると、
パラシュートがゆらゆらと落ちて来てる。
ポトリと落ちたそれを拾うと、
パラシュートには鍵がついていた。
鍵を持って、拝殿へやって来た。
イミゴが扉に鍵を使う。
さとみくんとやらは、
慌てた様子でイミゴに駆け寄った。
さとみさんの目線が僕に移った。
そして、さとみさんに全てを話した。
やいのやいのと言い合い、
さとみさんが手を上げて制する。
深々と頭を下げられ、逆にこっちが狼狽えた。
そして、さとみさんは
ジェルと莉犬の頭に手を置いた。
ジェルと莉犬はしゅんとした。
その様子がどこか懐かしかった。
初めて会ったはずなのに……。



















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。