第37話

特別編 第三章 花 後編
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2021/06/04 22:53 更新
一つだけ絵馬が黒く染まっている。
その絵馬をマッチ箱のヤスリでこすった。
すると、彼岸花が一本浮かび上がった。
ころん
ころん
全て絵馬の彼岸花の絵が……
ころん
ころん
関係あんのかな?
そして、参道の方に行った。
確か、こっちの狛犬がお腹空いてたって
言ってたっけ?
おまんじゅう持ってるし、あげようかな。
なんか、僕食っちゃっいけないみたいだし。
阿形
阿形
むっ、小童、それは……
阿形
阿形
まんじゅう!!
ころん
ころん
腹空かせてたでしょ?
僕も空いてるけど。
阿形
阿形
ノミも役に立つことがあるんだな
褒美をやろう
犬の置物をもらった。
ころん
ころん
どうも
阿形
阿形
彼岸の日のまんじゅうは格別だな
あと、もう片方が酒飲みたいって言ってたっけ?
どうやってお酒をあげようか。
楼門の右側の箱のダイヤルに、
絵馬に描いてあった彼岸花の数をいれた。
すると、箱は開いて、木槌が出てきた。
拝殿前に行くと、酒樽の上に木箱があった。
それを木槌で割ると、キツネの置物が出てきた。

これも大事だろうけど、
求めてるのはこれじゃない……。
末社というところに行き、ロウソクを持った。
賽銭箱の下に何か無いのか探してみると、
湯のみが見つかった。

そして、小槌で酒樽を割って、酒を少し入れた。

それを参道にいる吽形の狛犬に渡した。
吽形
吽形
このつきたてのお餅のような、
ふくよかな香りは……!!
ころん
ころん
飲みたかったんでしょ?
吽形
吽形
ありがとう!!
キミは命の恩人だよ!!
恩が重い……。
ころん
ころん
ど、どういたしまして
吽形
吽形
お礼に、楼門の棚を開けるヒントを
教えてあげるね
吽形
吽形
“イヌとサルは犬猿の仲、隣合わない方がいい。ヘビは端やキツネを嫌う。キツネはイヌの左を好む”
吽形
吽形
どう?どう?役に立ちそう?
ころん
ころん
えーと、たぶんね、ありがと
棚を開けたいのは山々だが、
もう一つ、ヘビの置物が無い。
色々探してみるかぁ。
末社の岩のくぼみにお守りをはめ込んだ。
ころん
ころん
やっぱり、ピッタリだ
すると、お守りがぼんやりと光を放つ。
ころん
ころん
えっ?
イミゴ
イミゴ
ころちゃん!!
イミゴが触れないように覆いかぶさった。
イミゴ
イミゴ
ころちゃん、大丈夫ですか?
ころん
ころん
……な、なんだったの?
末社にあった大きな岩が砕けていた。
ころん
ころん
……奥に道が続いてる
イミゴ
イミゴ
あ!待って、ころちゃん
ころん
ころん
凄い……
目の前にはたくさんの彼岸花が咲き誇っていた。
イミゴ
イミゴ
ここはですね、“彼岸の庭”と言って、神様のお庭なんです
ころん
ころん
凄い、一面の彼岸花か
初めて見た
少し奥に行くと、ヘビの置物が落ちていた。
その下に、何かが埋まっていた。
ころん
ころん
鏡?
しかし、鏡面は黒ずんでいて何も映さない。
裾で拭き取っても汚れは落ちなかった。
楼門の棚に行き、全ての置物を、
吽形の言っていた通りに置いた。

すると、鍵が開かれ、扉が開いた。

そこには、花火が入っていた。
ころん
ころん
花火?
イミゴ
イミゴ
わー懐かしい!
ころん
ころん
打ち上げ型もある
イミゴ
イミゴ
あ、あの、打ち上げてみましょうよ
ころん
ころん
いいの?
イミゴ
イミゴ
ジェルくんと莉犬くんが
喜ぶと思うんです
ころん
ころん
……イミゴが一番ワクワクしてない?
イミゴ
イミゴ
そんなことないよ!!
コイツも意外と年相応……それ以下だな。
ジェルと莉犬に花火セットを見せた。
ジェル
ジェル
すっげー!
兄ちゃんどこから見つけたん!?
莉犬
莉犬
花火したーい!花火!花火!
イミゴ
イミゴ
安全なところでやろうね
そして、手水舎の前に移動した。
思いの外、大きな花火が打ち上がった。
ころん
ころん
おおー市販のっぽいけど
結構大きいなぁー
莉犬
莉犬
オレもやりたい
ジェル
ジェル
オレもオレも!
イミゴ
イミゴ
危ないから一緒にやろうね
ころん
ころん
順番にね
手当り次第花火を打ち上げて遊んだ。
莉犬
莉犬
ねぇ、あれなーに?
イミゴ
イミゴ
え?
莉犬が指を指す方向を見ると、
パラシュートがゆらゆらと落ちて来てる。
ポトリと落ちたそれを拾うと、
パラシュートには鍵がついていた。
ころん
ころん
鍵だ
イミゴ
イミゴ
もしかして、拝殿の鍵?
ころん
ころん
花火から?
ころん
ころん
いくらなんでも意味不明過ぎるよ
イミゴ
イミゴ
……うん
鍵を持って、拝殿へやって来た。

イミゴが扉に鍵を使う。
イミゴ
イミゴ
開いた!
さとみ
さとみ
イミゴ!
イミゴ
イミゴ
さとみくん!
さとみくんとやらは、
慌てた様子でイミゴに駆け寄った。
さとみ
さとみ
何があったんだ。拝殿からは出られなくなるし、イミゴもジェルも莉犬も見当たらなくて心配したんだぞ
さとみ
さとみ
おまけに外から爆発のような音も
聞こえてくるし
イミゴ
イミゴ
それは……ははっ
さとみ
さとみ
あの音は――――ん?
さとみさんの目線が僕に移った。
さとみ
さとみ
イミゴ、後ろにいる子は?
イミゴ
イミゴ
えーと、ころんくん
神社に迷い込んじゃったみたいで……
ジェル
ジェル
オトンが苦しい言うてたから
呼んできたんや
莉犬
莉犬
でもお父さんもう大丈夫だから
外で花火してたんだ!
さとみ
さとみ
ちょ、ちょっと待て!
情報量が多すぎるから
一つずつ順番に聞こう
そして、さとみさんに全てを話した。
さとみ
さとみ
暇を持て余して花火で遊んでいたと
ころん
ころん
えらい端折られた気がしますけど
だいたい合ってます。花火は、
イミゴがやりたがっていたので
イミゴ
イミゴ
わっ、ちょ、違う!!
イミゴ
イミゴ
僕はジェルくんと莉犬くんが
喜ぶと思って!
ジェル
ジェル
イミゴ兄ちゃんだったやりたがってたクセに!
莉犬
莉犬
ひどーい!セキニンテンカ!
やいのやいのと言い合い、
さとみさんが手を上げて制する。
さとみ
さとみ
分かった。花火の件は不問にする
今は非常事態だ
さとみ
さとみ
迷惑を掛けてしまったようだ
責任者として謝罪させてもらう
申し訳なかった
深々と頭を下げられ、逆にこっちが狼狽えた。
ころん
ころん
いや、僕も考えなしだったので
そして、さとみさんは
ジェルと莉犬の頭に手を置いた。
さとみ
さとみ
彼岸の日は大人しくしろと言っただろ
さとみ
さとみ
此岸の人を招くなんて、おしおきに
値すると思うんだけど?
ジェル
ジェル
ごめんなさい
莉犬
莉犬
ごめんなさい
ジェルと莉犬はしゅんとした。
その様子がどこか懐かしかった。
初めて会ったはずなのに……。
さとみ
さとみ
ころん
ころん
ころん
はいっ
さとみ
さとみ
お前が帰れなくなった理由はだいたい分かる。俺も帰る手伝いをしよう
ころん
ころん
帰れるんですか?
さとみ
さとみ
ああ、手を尽くそう
ころん
ころん
ありがとうございます!

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