第36話

特別編 第三章 花 前編
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2021/05/29 08:42 更新
ジェル
ジェル
あっ!
莉犬
莉犬
んっ?
ころん
ころん
あっ!?
イミゴ
イミゴ
あっ!
ダッと走り出す子供の襟元を、
反射的にとっ捕まえた。
莉犬
莉犬
うわぁーん!話してぇ!!
ジェル
ジェル
兄ちゃん、何でそないに
手際がいいんだ!?
ころん
ころん
あっ、いや、咄嗟に手が出た……
イミゴ
イミゴ
ジェルくん!莉犬くん!やっぱり二人がころちゃんを神社に呼び込んだの?
ジェル
ジェル
だってオトンに言われたんだもん!
莉犬
莉犬
苦しいって言ってたんだもん!
ころん
ころん
そうだ、パパはどうしたの?
イミゴ
イミゴ
ぱ、ぱ……?
ジェル
ジェル
もう平気
莉犬
莉犬
静かになったから大丈夫
ころん
ころん
はぁ!?
イミゴ
イミゴ
二人とも、ちゃんと謝りなさい。お兄ちゃん帰れなくて困ってるんだからね
ジェル
ジェル
えー!帰んなくてええやん!
オレ達と遊ぼうよ!
莉犬
莉犬
遊ぼう遊ぼう!
ころん
ころん
ちょっと、引っ張んないで!
イミゴ
イミゴ
もう、ふざけないで!!
二人ともそこになおりなさい!
イミゴの雷が落ちた。



イミゴ
イミゴ
じゃあ二人はお父さんのためにころちゃんを神社に連れてきたんだね
莉犬
莉犬
悪いことだって思ってなかったんだ
ジェル
ジェル
せやな!ごめん兄ちゃん!
ころん
ころん
軽すぎない?
相当大変な目に遭ってると思うんだけど。
イミゴ
イミゴ
さとみくんは拝殿にいる?
ジェル
ジェル
今は拝殿に入れへんで
イミゴ
イミゴ
えっ?
莉犬
莉犬
鍵がかかってるよ
イミゴ
イミゴ
どうして!?
ジェル
ジェル
分からん
莉犬
莉犬
さとみさま、呼んでも出て来ないよ
イミゴ
イミゴ
なんでこう問題ばっかり
なんですか!?
イミゴがまた頭を抱えている。
哀れに思えてきた。
ころん
ころん
探せばまた解決するんじゃないの?
僕はイミゴを慰めた。
本来慰められるべきなのはこの僕だと思うけど。
イミゴ
イミゴ
……そう、ですね。ごめんなさい
莉犬
莉犬
なになに?探しもの?
宝探し?かくれんぼ?
ジェル
ジェル
俺も遊ぶ!!
イミゴ
イミゴ
遊びじゃないですよ!
ああ、もう……
イミゴがガックリしてるのも気にせず、
二人の子供は走り去って行った。
ころん
ころん
ジェルと莉犬は何者なの?
イミゴ
イミゴ
神社に住んでる子供です
ころん
ころん
親は?
イミゴは首を横に振る。
イミゴ
イミゴ
さとみくんが引き取ったんです
ころん
ころん
えっ、じゃあ“お父さん”って
イミゴ
イミゴ
実の親ではないですが、神社にはお父さんがいるんです
関係がいまいち分からない。
ころん
ころん
複雑な家庭環境とか?
イミゴ
イミゴ
そうかも。村には同年代の子供がいないから、普段は僕が遊び相手なんです
ころん
ころん
へぇ……
子供がいない?
ずいぶん寂れた村だなぁと思った。
イミゴ
イミゴ
ころちゃんが村に来てくれて嬉しくなっちゃったのかもしれないです
イミゴ
イミゴ
お父さんのことは僕達が
なんとかするから、
ころちゃんは気にしないで下さい
ホントにパパは何者なの……?
ころん
ころん
さっきから話に出てくる
さとみくんって誰?
イミゴ
イミゴ
神社の偉い人。土地の管理者みたいな感じですね
ころん
ころん
へぇー
イミゴ
イミゴ
安心して下さい。優しい人ですよ
結構過保護なんですけどね……
ころん
ころん
ふーん
そして、僕は絵馬がたくさん掛かってる
絵馬掛け所に来た。

さっきのジェルと莉犬が居た。
ころん
ころん
オレンジの方がジェルで、
赤色の犬が莉犬?
ジェル
ジェル
せやで!
莉犬
莉犬
そうだけど……酷くない?
ころん
ころん
二人の名前は何となく分かる気がするけど、イミゴの名前の由来ってなに?
イミゴ
イミゴ
……秘密です
やっぱり答えてはくれなかった。
ころん
ころん
オマエらのパパって大丈夫なの?
ジェル
ジェル
ええんや
莉犬
莉犬
寝てるときはそっとしておいた方が
いいんだよ
ころん
ころん
ふーん
釈然としないけど、
そう言われたら何も出来ない。
ジェル
ジェル
せーやーかーらー!!
莉犬
莉犬
遊んで遊んで!!
ころん
ころん
いや、寝てんなら静かにしろよ!!
莉犬
莉犬
大丈夫!お父さんはオレ達が楽しそうにしてる方が喜ぶから
ころん
ころん
えぇ……
ジェル
ジェル
何して遊ぶん?
ころん
ころん
何してって……何があるの?
イミゴ
イミゴ
お手玉とかのおもちゃなら神社にも幾つかありますけど……
ジェル
ジェル
えー!いつも遊んどるおもちゃじゃ
つまんない!
莉犬
莉犬
いつもは出来ないような
遊びがしたいよ!
ころん
ころん
と言われても……
ジェル
ジェル
派手にさ!楽しーくなるやつ!!
そう言われても、無理があるぞ。
ころん
ころん
あのさぁ、オマエらさっきから
何持ってんの?
ジェル
ジェル
あっ、これ?
莉犬
莉犬
おまんじゅう!!
ジェル
ジェル
お彼岸だからお供え物たくさん
もらえるんやで!
莉犬
莉犬
オレ達はもうたっくさん食べたから
ころんお兄ちゃんにもあげるよ!
おまんじゅうを…………。
ころん
ころん
じゃあ、一つちょうだい!
ころん
ころん
お腹空いた!
ジェル
ジェル
はい、美味いで!
莉犬
莉犬
すーっごく美味しいよ!食べてみて!
僕はおまんじゅうを……
ころん
ころん
いただきマース!
イミゴ
イミゴ
わぁ!?ダメ!!
食べちゃダメです!!
ころん
ころん
うわっ!?
イミゴ
イミゴ
食べちゃダメって言いましたよね?
絶対に許しませんから
ころん
ころん
だからなんでイミゴの許可が
必要なの?
ジェル
ジェル
そーや!イミゴ兄ちゃんのケチ!
イミゴ
イミゴ
許可もケチもクソもありません!
断固阻止しますからね!
もう腹へったんだけど……ダメなのか……。

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