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第1話

プロローグ 私の青春は壊れている
──青春の、匂いがする。
女子生徒
好きです!
付き合ってください!
リンゴのように顔を赤くして、
一人の女子が告白をしていた。


一瞬だけ時が止まり、周囲がざわめく。



なんといっても、そこは廊下のド真ん中。
嫌でも青春の瑞々しく爽やかな空気が毒のように漂ってきた。

あぁ嫌だ。


私は青春なんてものが嫌いだ。
青い春?
今は春なんて終わってもう秋だよ。
季節外れだよ。それに青いってなんだ。

春に色なんてついてるのなら是非お目にかかりたいものだよ。ふん。
栗原ミキ
栗原ミキ
…可愛い子だな
まぁ、公衆の面前で告白をぶちかますくらいだ。
よほどOK貰える自信があったに違いない。


白くほっそりした体、小さな顔と艶やかな黒髪。
遠目からでも目が大きく、睫毛も長いことがわかる。

所謂パリピというやつだろう。


あぁ嫌だ嫌だ。
根暗系女子の私様には縁遠い存在だね。
先生
栗原ー
栗原ミキ
栗原ミキ
はい?
絶対廊下に出るものか、あの青春の初々しい空気を浴びてなるものかと教室の隅で息を殺していた私に声がかかった。

見上げれば、先生がプリントを抱えている。



いやーな予感……。
先生
これ、職員室まで持っていってくれないか?頼む
空 気 読 め や。


アホなの?
お断りしますって言えるような肝の座ったヤツじゃないのをいいことに面倒ごとを押し付けやがって。


くそう。
仕方あるまい。
四十路に差し掛かる独身先生は私よりもこの空気がキツいだろうから。
栗原ミキ
栗原ミキ
わかりました
仕方なくプリントを受けとる。
ざわつく廊下にソロソロと忍び足で出た。


目立たないように、目立たないように……。


ザワザワしていて、野次馬根性の生徒たちで溢れ返っている。
彼らをかきわけ、一生懸命前進する。


……そういえば、誰が告白されてるんだろう。


そんな興味を抱いて、聞き耳を立てたのがいけなかった。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
うぜぇよ。消えろ。
前も断っただろ
聞いたことのないくらいに、冷めきった声だった。
女子生徒
なんでよっ!
フリーなんでしょ、私と付き合ってよ!
青春の甘酸っぱさというより、SYURABA。

なんつーか、はい。失礼いたしました。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
好きなヤツがいるって言ったろ
女子生徒
そんな言い訳聞きたくないわよ!
どうせ本当はいないんでしょ!
好きなヤツってのを連れてきて、証明して見せてよ!
アカネ・・・はため息をついて、周囲を見渡し、そして。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
こいつだよ
あろうことか、私の二の腕をつかんで引き寄せたのだ。
急に渦中に飛び込まされた形になる。
あぁ……嫌な予感、的中。


アカネの鬱陶しい手を払いのける。
目の前の女子は目に涙をためて、私を睨んでいた。
女子生徒
ひどい!
私に恥をかかせるなんて……許さないから!
強い怒気をはらんだ声に私は目眩を覚える。
なんで私がこんなことに巻き込まれなくちゃいけないんだ。


だから、青春は嫌いなんだよ。