第24話

plus-4 Valentine(⚠️Dキス表現あり)
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2024/02/18 13:18
あなた
えーっと、ここでこれを……
…んああ!わかんない……
私、小森あなた、絶賛困り中です。

なんならちょっとイラついてます。


というのも、明日は2月14日。
そう、バレンタインである。


バレンタインといえば、恋人を思い浮かべると思うけど
知っての通り私は元貴くんと恋人…。


こ、恋人………。
まぁ恥ずかしがってる時間もないんだけど。
あなた
少し前に練習してみたとはいえ、難しすぎるよチョコ作り…
人類がするもんじゃないって
こういうのをこの前メンバーにも言ってみたんだけど
そしたら2人とも「いやお前が人外」と言われてしまった。


本当に何してやろうか。
あなた
…と、とりあえずできたし美味しいけど
形不格好だし、これを「はいどうぞ!」って渡す勇気出るかな…
無難にチョコクッキーを複数枚作ってみた。
メンバーにマネージャー、それから若井さんと藤澤さん。
そして本命の元貴くん。


ハート型とか星型とか、いろいろな形のものを作ってみてはみたものの
少しもろかったりするし…大丈夫かな…。
あなた
…踏ん張るしかないかなぁ
そのまま大事に保管しておいた。





翌日。
あなた
はい、てことでこれ
ハッピーバレンタインですよー
葉月聡
お、さんきゅ
瀬良駿太
珍しいね、あなたがこんなことするなんて
あなた
元貴くんのついでだよ!
つ・い・で・♡
葉月聡
かなり要らねぇ言葉だな…
あなた
何よ、事実じゃん
作るより本当は歌ってたかったよ。
瀬良駿太
大森さんにはいつ渡すの?
あと、藤澤さん達にも渡すでしょ?
あなた
元貴くん達、今日の夜はスタジオにいるらしいから
私がそこまで行くつもり
若井さんと藤澤さんには同時に渡すけど
元貴くんのときには帰り際に2人きりでがいいなって
葉月聡
ま、頑張れよ
あなた
まじで、頑張る
何気に若井さんと藤澤さんに渡すのも緊張するけどね!!!!ううん!!!








そして夜。
ミセスが使用しているスタジオまで向かう。
PMGAの方に案内されて、ミセスがいる部屋まで行く。
あなた
失礼しま〜…あれ、元貴くんは?
藤澤涼架
藤澤涼架
あ、やっほ〜あなたちゃん!
お疲れ様〜
若井滉斗
若井滉斗
お疲れ〜
元貴はまだ会議中だと思うよ
あなた
あ!おふたりとも!お疲れ様です!
そっか、まだか…
あ、ならちょうどいいかも。

と、2人に向けて小さな袋を渡す。
あなた
これ、バレンタインです!
元貴くんがいないからちょっと渡しやすいかも…
若井滉斗
若井滉斗
お!ありがと〜!
すごい、色んな形あってめっちゃいいね
藤澤涼架
藤澤涼架
わーい!ありがとうね、ほんとに!
…まぁ確かに、元貴はいない方が少し好都合だったかもねw
わ、渡せ、た……。


これでも私はまだ、ミセスファンだ。

ミセスとして活動している3人へはファンの目線で見てるし
プライベートは元貴くんは彼氏、2人は彼氏の親友として見てる。

でもやはり今回は、少しオタクが出てしまった。
いけないいけない。
若井滉斗
若井滉斗
元貴が来る前に直しとこ
そう言って2人はササッと隠してくれた。

本当にべりーかいんど。
すると、後ろの方で、ガチャとドアが開く音が鳴る。
大森元貴
大森元貴
…あ!あなたちゃん!
もう来てたんだ!!
あなた
元貴く……ってぐあああ
元貴くんがいる!って思った瞬間思いっきり抱きついてきた。

う、嬉しいけど恥ずかしいし…苦しい……。
あなた
も、元貴くん、ぎぶ
大森元貴
大森元貴
んふふw
ごめんごめん
そうやって離れた元貴くんはとんでもなくニヤついている。
あ、これ反省してない時の顔だ。
若井滉斗
若井滉斗
ちょっとー俺らもいるんですけどー
藤澤涼架
藤澤涼架
よく僕らのこと空気にするよね2人ってw
あなた
な、私はしてませんよ!私は!!
大森元貴
大森元貴
ちょ!?俺を孤独にする気!?
そうやって4人で笑い合う。

…でも私は緊張が抜けきれていない。

じゃ、と元貴くん。
大森元貴
大森元貴
俺らは帰ろっか、あなたちゃん
あなた
う、うん!
それじゃおふたりとも、失礼しました!
そう言って深く礼をした。


スタジオを出るとすぐ、元貴くんが私に話しかけてきた。
大森元貴
大森元貴
…さて、僕結構待ってるよ?
あなた
あ、えっと、あの…
たぶん、チョコのことだな。
期待してくれてたのかな。

そこまでいい出来じゃないのに…。
あなた
…あの、すごく上手じゃないけど
大丈夫?
大森元貴
大森元貴
え?そんなの気にしないよー!
気持ちが嬉しいんだよ?こういうのは
あなた
……なら、お言葉に甘えて
私は元貴くんにチョコクッキーを__



渡さなかった。
大森元貴
大森元貴
…あれ
元貴くんは手を出してくれてるけど
私はそこに袋を置かなかった。
あなた
元貴くん
そう言って私は袋からクッキーを取り出す。
あなた
はい、あーん
大森元貴
大森元貴
……え
外は少し暗いが、元貴くんの顔が赤くなってるのがわかる。

声色でも判断が可能なくらいに
元貴くんは今焦っている。
大森元貴
大森元貴
え、えっとこれは…
あなた
いらないの?
大森元貴
大森元貴
…あーん
か、かわいい。
あーんっていうんだ。律儀。


そんな可愛い元貴くんの口にクッキーを近づけると
はむっと咥えて食べてくれた。
そのままサクサクと音を鳴らした後
大森元貴
大森元貴
え、めっちゃ美味しいんだけど!
あなた
ほんと!?
よかったぁ…
美味しい!美味しい!と食べてくれる元貴くん。
さすがに全てあーんは大変なので、2個目以降は袋をそのまま渡した。

そうすれば元貴くんの手は止まらなくって
一瞬で無くなってしまった。


大森元貴
大森元貴
すごい、あなたちゃんの愛を感じる
あなた
そりゃ愛情込めて作ったもん!
元貴くんのためだからね、そのチョコは
大森元貴
大森元貴
……
ドヤ顔で言っていると、元貴くんが目を細めて私を見つめてくる。
あなた
ど、どうしたの…?元貴く___




唇と唇が重なる。

キスと判断するまでに、そこまで時間はかからなかった。
それに今回は
いつもとなんか違う。
あなた
もときく、んっ、はぁ…んんっ
大森元貴
大森元貴
んっ…
いつもは触れるだけのキスなのに


今回は何回やっても止まってくれないし
あなた
…!まっ…んんっ
くちゅ、くちゅ、と音が鳴る。

舌を、入れられている…?
……そ、そろそろ息が限界。

そう思って元貴くんの胸を数回叩く。
大森元貴
大森元貴
…んっ、はぁ
あなた
はぁはぁ……す、すごい…
初めてだった。

これが、ディープキス…?
大森元貴
大森元貴
今日はここまでにしとこうかな
あなた
……へ?
大森元貴
大森元貴
んふふ
元貴くんが顔を私の顔の横側に近づけてくる。





そして低いその声で耳元に囁いてきた。


大森元貴
大森元貴
今度お家おいで
もっといいことしようね、あなたちゃん






もっと、いいこと……。

いいこ、と…。
あなた
…!?
理解が追いついてしまった。

そ、それって…もしかして……。
チラッと元貴くんを見てみると
完全に狙っている顔だった。
あなた
あ、えっと、あの…
大森元貴
大森元貴
本当なら今持ち帰りたいくらいなんだけど
トラウマになっちゃいけないからね

でも、約束だよ?
そうやって私の頬をスリスリと撫でてくる。



…一体、どうされちゃうの、私。

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