バラバラバラバラ、机に広げたのは12枚の黒い封筒。
どれもこれも、書いてあるのは同じ内容。
ウザイ、消えろ、別れろ、調子に乗るな、ブス、キモイ、特別扱いされて浮かれんな、彼らに近づくな・・・。
つらつらと書かれた私に宛てられた文句の数々。
浮かれてなんて、いない。
私は彼らの"特別"じゃない。
分かっていないのは貴方達の方でしょ?
頭が、ガンガンする。反響するのはあの言葉。
『捜してたよ、必死に』
位置が分からない。
ホソクの言葉も。ジミンが拗ねてる理由も。
ちゃんと守らなきゃいけないのよ。
"あの日"にちかったこと。
分かってるの、そんなこと。最初からそうなんだから。
"特別"なんてありえない。
彼らが私を捜した理由なんて知らない。
誰もいない最高級の部屋は、酷く冷たい。
チカチカと今日もまたメッセージを知らせる留守番電話のランプが鳴っていた。
"特別"の意味なんて私には分からない。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。