「─────────!!」
ガタッと勢いよく立ち上がったせいで椅子が倒れた。
「葛葉?」
おかしい。
ありえない。
何故魔力を感じた?
取り敢えず何が起こってもいいように擬態を解いて叶を守るようにして立つ。
「何、どうしたの?!擬態まで解いて・・・」
「魔力だ。魔力を感じた。警戒しろ叶。」
「魔力?!なんで?!」
「知るか!!」
分からない。何が起きているのか。
感じる魔力はどんどん膨らんでいって、叶にも感じ取れたようで緊張が高まる。
突如、2人の足元に魔法陣が現れる。
「叶!手!!」
「ッ、」
この魔法陣は指向性の転移陣だ。
葛葉が魔界と人間界を何度も行き来する時に使っていたからこそ分かったが、何処かそれとは違う。 だが、魔法陣ならば手を繋いで葛葉の魔力を叶に少し流すことで魔法陣が「勘違い」を起こして同じところに転移する。 葛葉はそう考えて叶と手を繋いで魔力を流す。 叶もかなり昔その話をした事があったので最初は驚いていたが意図を読み取って魔力を受け入れた。
「ッ来るぞ!」
光に目が眩み、視界が切り替わる。
かと思えば、変わらない。
「・・・え、何も変わってない・・・?」
「いや、違う。」
魔力のようなものを感じる。
先程とは違う。魔力では無い何か。
それが広範囲を囲んでいる。
「結界か・・・!」
「結界?!なんでまた、」
「知るか。 取り敢えず色々確認するぞ」
携帯を見る。 電波は生きてる。 水道。 ちゃんと出る。 電気、は付いてる。 魔力を練る。 ちゃんと使える。
「妨害系の結界ではなさそうだね。」
「だが何のために結界を・・・」
基本的に結界は何かを妨害する為に使われる。
だが今のところ何も妨害されていない。
なら何が妨害されているのか。
「・・・ねぇ葛葉。外、静か過ぎない?」
「っまさか、」
窓から外を見る。
車がどれも動いていない。
その車の中に人間が居ない。
「俺ら以外の人間を拒んでいんのかよ・・・!」
「話をすれば、って感じ?あいつらの生き残りが原因かな。」
まだ何も分かっていない。
「その可能性はある。けどさっき感じたヤツは魔力であって魔力じゃない、みたいなやつだったしな・・・」
「他の人がホントに居ないか取り敢えず確認しよっか。」
タイミングよく、discordの通知が鳴る。
「・・・居るっぽいな。ライバー。」
「だね。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。