第9話

7.
2,583
2022/04/02 06:00
HNside




…少し寝すぎた…



慌ててベットから起き上がり、部屋から出る。



多分、お父さんもお母さんも帰ってきてるだろうな…



小さなため息をついて、リビングに入った。



寝たのに疲れを感じるなんて。



いつになったら僕の心は楽になるのかな…


ハン
ハン
あれ…
お父さんとお母さんがいない。



今日の仕事は遅めなのかな…
リノ
リノ
ジソナ起きたの?
ハン
ハン
あ…う、うん…



リビングにはリノヒョンしかいなかった。



僕とヒョンは2人きり。







待って、



気まずすぎるんですけど…



どうしよう。



ハン
ハン
ぼ、僕部屋に戻るね…
そう言ってまた戻ろうとしたら、
リノ
リノ
待って。
ヒョンに呼び止められた。
リノ
リノ
どうせ、戻っても寝ちゃうんでしょ?
ヒョンが苦笑いしながら言う。



…何も言えない。
リノ
リノ
図星?ㅋㅋ
無言で頷く。



こうなったら逃げ道はない。



ヒョンとしばらく2人きりでリビング…





終わった…



ヒョンが僕をソファに手招きする。それに僕は従う。



僕がぎこちなく控えめに座ると、その隣にヒョンがドサッと座った。
リノ
リノ
テレビ見ない?
ハン
ハン
え、な、何見るの?
リノ
リノ
いや、特に決まってない
何それ、と軽く笑う。そんな僕を見てヒョンは嬉しそうにする。



そばにあったリモコンをヒョンが操作し、パッと目の前のテレビの画面がつく。



テレビではちょうど、音楽番組がやっていた。



番組に集中したいが、今の僕は隣にいるヒョンに完全に意識が向いていた。



すぐ横を向けばヒョンの顔がある。







近い、近すぎる。



ヒョンの体温がソファを通じて伝わる。



暖かくて、ふんわりとしていた。



テレビはそんなのも気にせず次の曲へと変わる。
ハン
ハン
あっ…
この曲…僕が寝る前によく聴く曲だ。



静かで落ち着いたメロディが好きで、聴いてると眠くなる曲。







そんなことを考えていると、また眠くなってきた。






僕、疲れてるのかな…



いつになく今日は眠い。



言うていつも、ずっと部屋にこもってるだけなんだけどね…








うつらうつらとしていたら、思わずヒョンの肩に頭を乗っけてしまった。
ハン
ハン
あぅっ、ご、ごめん
より気まずくなって慌てて起き上がる。



やばい、恥ずかしい。
リノ
リノ
ふふっ、いいよ。



そう言うとヒョンは優しく微笑み、




僕の肩に手を回してきた。










え…



えぇぇえ!?




恥ずかしさと緊張で、体全身の脈が波打つ。




さっきでも近かったヒョンとの距離がさらに縮まる。



ただでさえ普段から家族との触れ合いを避けているからこそ、ヒョンに対してすごい意識をしてしまう。
リノ
リノ
この曲、俺好きなんだ〜
ヒョンはそんな僕に気づかず、テレビから流れている曲について話す。




僕はただ黙って俯くことしかできなかった。




全身が熱い…








リノヒョンの手が、僕の頭上へと移動する。
ハン
ハン
ッ…///
よく分からないけど、胸がキュッとする。







…時よ、早く流れてくれ…。




ヒョンが僕の頭をポンポンと叩く度、ドキッとしてしまう。










なんだろう、妙な気持ち…






僕が体をこわばらせているのに気づいたのか、ヒョンが僕のほうを見る。



ヒョンと目が合う。



緊張でうまく目を見ることができない。











鼓動が、いつも以上に高鳴っていた。








LNside




ジソナと距離を縮めたくて、思い切ってテレビを見よう、と誘った。




ジソナは何故か緊張してるみたい。



とりあえず隣に座らせて、2人でテレビを見ていたら、ジソナがうとうとと微睡んで、そのまま僕の肩にもたれかかってきた。



一瞬ドキッとしたが、緊張がほぐれたのかな、と思い嬉しい気持ちになる。



でもジソナはびっくりしたのか、すぐに起きて俺に謝った。



…謝んなくていいのに。



なんならそのまま寝てて欲しかった…。








って何を考えてるんだ、俺は。



これじゃあ、ただの変態じゃん。



けど、今が距離を縮められるチャンスだと思って少しスキンシップをすることにしてみた。








気付かないふりをしていようと思っていたけれど、ジソナがあまりにも俺のスキンシップにびっくりしてるみたいだったから、少し顔を覗き込んで見ることにした。







ハン
ハン
ッ…///



ちょっと無理にジソナの顔をこちらに向けさせてみたら、ジソナは顔を真っ赤に火照らせていた。




少し汗ばんだジソナから、目が離せなくなる。











緊張で戸惑いを隠せないジソナを、手に入れて自分のものにしてしまいたい、と思ってしまう自分。












ジソナが、 欲しい。






いつの間にか俺はジソナを強く抱きしめていた。
ハン
ハン
ッ!?ヒ、ヒョンッ!?///
リノ
リノ
悪夢から覚めた時にしてあげた、優しいものとは違い、何かから奪い取られるように抱き寄せられたジソナは、ものすごい驚いて抵抗してきた。




それでも俺はただひたすらに抱きしめる。




ジソナを求めて。





力加減など気にせず、誰もいないのにジソナは俺のものだ、と見せつけるように…





もっと、もっと強く…








ハン
ハン
ヒョンッ…くるしぃっ…








ジソナが蚊の鳴くような声をだして、ようやく俺は我に返った。




慌ててジソナから離れる。
リノ
リノ
ご、ごめんねジソナッ…急に抱きしめたりして…
何度も謝ると、ジソナは黙ってこくこくと頷いた。



その顔は未だに赤く、微かに震えていた。






…やってしまった。



完全にこわがらせちゃった。



それでも、ジソナから目が離せない。








一体俺はどうしたのだろう。




何も出来ず、ただジソナを見つめていたら、遠くから「ただいまー」という声が聞こえた。





お母さんだ。



これで一旦、この場はどうにかしのげそうだ。



ソファから立ち上がり、おかえりを言おうとした時、
ハン
ハン
ヒョンッ…
リノ
リノ
ジソナ?
ハン
ハン
何か言いたそうで、でも言い出せないジソナを見て、俺はふっと笑い、
リノ
リノ
無理しないで。
…さっきのことは、忘れたほうが楽かもね。
と言い残してリビングから出た。







…忘れたほうがいいなんて、





思ってもないのにね。
















テレビをつけていたことなんて、いつの間にか忘れていた。
















✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





なんか…いつもより長くなりました。


まぁ、気にしないでください。





そういえば先日アルバムがやっと届いて中身を開けてみたら、なんとトレカのリノハンがどちらも当たるという完全自引き…





オタク死にました。
















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