第37話

35話:そのためのチーム
322
2024/04/18 22:35



バチコーンという大きな音と共に終了のホイッスルがなる



この瞬間、ボールが落ちるのが遅く感じる



やばい…



澤村「まっ、待て影山!気持ちはわかるが抑えるんだ!!」



影山「___…まだ…何も言ってませんけど…」



怖い怖いっ!!



いや、まずいっ、火に油を注ぐ奴がここにいるっ。



バッと田中先輩と月島の方を向くと案の定、大声を上げて笑っている



正直に言ったら面白くはあった



だけど私でさえも空気は読むっ



恐る恐る日向に向き直ると何かを悟った様な菩薩顔で、突っ立っている



ゆらりゆらりと日向に歩み寄る影山



『ちょっ、待って影山ww』



影山「笑うんじゃねぇよ!」



日向の間に入った私を押しのけて、日向に歩み寄る影山



後ろ姿からでもわかる。結構ご立腹だ



他の部員も声をかけれない



影山が口を開いた頃には日向も引き攣った顔で汗を大量に流してる



影山「一体何にビビってそんなに緊張してんの?相手がでかいこと?初めての練習試合だから?」



パシンとボールの当たった自分の頭を叩く



影山「俺の後頭部にサーブをぶち込む以上に怖いことって______何?」



『やめなさい』



影山の服を引っ張る



影山「やめろ」



『あぁ?』



菅原「お前らもお前らで喧嘩始めようとすんな!」



私は菅原先輩にまたまた引っ張られ腕の中に収まる






…ん?…なんでバックハグ状態なの?



澤村「スガぁ!!」



田中「スガさんずるいっす!!」



月島「何これww」



『月島黙れっ!!』



青城(((((烏野いいなぁ〜…)))))



烏野は騒がしいです…



喧しいです…



菅原先輩の腕からやっと解放されると影山の大声が聞こえる



影山「とっとと通常運転に戻れバカヤローッ!!!」



日向「…………えっ?今のヘマはセーフ!?」



影山「なんのハナシだ!」



『馬鹿野郎ヘマはヘマだよ!!セーフじゃねぇよアウトだよ!!』



澤村「スガ…はダメだな。清水!園田さん捕まえといて!」



清水「了解っ」



次は清水先輩からバックハグされてる



菅原先輩とかだったら思いっきり振り払ってるのにっ!!



田中先輩がものすごい顔してこっち見てるんだけど…怖い…



そんなのどうでもいいようで、すぐさま日向の方へ向き直る



田中「おいコラ日向ァ!!」



その大声に私まで過剰に反応してしまった



今更だけど田中先輩って声、大きいよね



それに恐れ慄いた日向が自分から正座してる



田中「他の奴みたいに上手にやらなきゃとか思ってんのかイッチョ前に」



日向「………ちゃ、ちゃんとやらないと…交替…させられるから…俺…最後まで試合…出たいから…」



潔子先輩の腕の中で大声をあげる。潔子さん…大声出してごめん…



『ふざけんなぁ!お前が下手くそとか百も承知だわ!!!それわかってて澤村先輩も入れたんでしょ?!余計な心配すんじゃねぇよ!!お前ただでさえ頭たりてないんだからそんなこと考えなくていいの!!わかった?!』



日向「はっ、はいぃ…」



私に言葉全部持ってかれたかの様に田中先輩は間抜けっ面してたけど気を取り直して咳払いをする



田中「ネットの"こっち側"にいる全員!もれなく"味方"なんだよ!!」



その言葉に日向の顔の緊張が少しほぐれた



田中「下手くそ上等!!迷惑かけろ!足を引っ張れ!!それを補うための!!"チーム"であり!"先輩"だ!!!」



日向も何かキラキラしたものを見ている様な顔



フッ…間抜け面



田中「ホレ「田中先輩」と呼べ!!」



日向「田中先輩!!」



田中「わはは!もう一回!!」



日向「田中先輩っ!!」



田中「わははっ!!」



…ちょっと田中先輩も田中先輩で子供だね…



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