第44話

私の目を見て(日向翔陽)
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2021/08/10 00:35
彼はいつも私から視線を逸らす。

話している時と目は泳ぎまくり。

なにかやましい事でもあるのかと疑ってしまう。

コミュ力お化けの彼が、

いつも私だけ目を合わせてくれない。
あなた

日向、部活行こー。

日向 翔陽
おう!
俺、影山も呼んでくる!
あなた

あ、影山くんなら先に行っててって。
授業で寝てたから補習くらってんだと。

日向 翔陽
そうなのか…
じゃあ俺らだけで先に行こう!
ほらまた。

今日も目を合わせてくれない。
日向 翔陽
あー…腹減ったー…
あなた

なんで…さっきご飯食べたじゃん…

日向 翔陽
でももう、2時間も前だぞ!
あなた

まだ2時間だよ。

日向 翔陽
あ、ぐんぐんグルト買っていい?
あなた

成長期なんて
中学で止まるんだから今更同じよ。

日向 翔陽
んなっ…?!
なんでそんなこと言うんだよ!
てか、俺はこれからだし!!
そういった自販機の前に走っていく彼。

ボタンを押して出てきた飲み物を手に取り、
日向 翔陽
早く行くぞ!
と、手招きをする。

そして彼の元に駆け寄ると、それに合わせて

一定の距離をあけた先を走る。

その後を追って体育館へと走る。
日向 翔陽
じゃ、俺、部室行ってから来るから!
あなた

うん。先に準備に行ってるから。

マネージャーの仕事は決して楽ではない。

部活前にはネットを貼り、ボールを出して、

ドリンクを作り、タオルを準備する。

清水先輩と谷地さん、そして私の3人でやっているが

1年生の4人はいつも手伝ってくれる。

影山くんは谷地さんと、

月島くんと山口くんは清水先輩と作業することが多い

そしては私は日向と作業をする。
日向 翔陽
これ、こっちでいいの?
あなた

あ、うん。そこに置いといて。
私が後でやる。

日向 翔陽
そ、そうか…
あ、ねぇ、これは…
あなた

それもいいよ。私がやるから。

日向 翔陽
ふーん…
じゃあ俺は何したらi...
あなた

こっちはいい。
谷地さんのところ手伝ってきて。

日向 翔陽
……何?なんか怒ってんの?
あなた

別に怒ってない。

日向 翔陽
あっそう。
じゃあ俺、谷地さんとこ行ってくる。
あなた

うん。

こんなことが言いたかったんじゃない…

でも見てよ。谷地さんと話す時は

谷地さんの目を見てあんなに笑ってる。
影山 飛雄
手伝いますよ。
あなた

あれ?!か、影山くんっ…
谷地さんのところ、もう終わったの?

影山 飛雄
うっす。
日向が来たんですぐ終わりました。
あなた

そ、そっか…

影山 飛雄
なんか考え事してるんすか?
あなた

え…?いや、別に…

影山 飛雄
してますよね?
あなた

えっ…アッ…ハイ…スイマセン…

影山 飛雄
何考えてんすか?
あなた

え…いや…
話すほどの内容でもないし…ww

影山 飛雄
の割には随分と苦しそうな顔
してますけどね。
あなた

っ…

影山 飛雄
図星っすか。
あなた

いいの…このままで…
これ以上深く係わりすぎたら
関係が壊れちゃうと思うから…

影山 飛雄
……日向ー。
あなた

えっ、あっ、ちょっと?!

日向 翔陽
何?
影山 飛雄
言いたいことあんだって。
日向 翔陽
俺に?
あなた

さ、さっきは…
きつい言い方してごめんっ…

日向 翔陽
あぁ、別に気にしてねぇからいいよ。
影山 飛雄
そんだけ?
あなた

そ、それとっ…
な、なんで…私とは…
目を見て話してくれないの…?

日向 翔陽
えっ…あぁー…それは…
月島 蛍
好きだから恥ずかしくて
目が見れないー。でしょ。
あなた

えっ…

日向 翔陽
月島っ?!
おまっ…何言ってんの?!
影山 飛雄
知らねぇの?こいつ、入学した時から
あなたさんのこと、好きっすよ。
あなた

えぇっ?!そ、そうなのっ?!

日向 翔陽
影山っ!!お前なぁ!!
耳まで真っ赤に染めて否定する日向。

彼の焦りと否定は逆効果で。
山口 忠
早く認めなよww
日向 翔陽
こ、こんな形になるとは
思わなかったけど…
ずっと前から…す、す、好き…でした…
あなた

わ、私も…好き…です…

月島 蛍
公認カップルおめでとー。
影山 飛雄
やっとだな。
月島 蛍
まさか王様が
恋のキューピットになるなんてねぇ。
影山 飛雄
うるせぇ、ボゲェ。
それからはちゃんと私の目を見て

話してくれるようになった彼。

今では目を閉じて唇を重ねるようになりました。
日向 翔陽
大好きだよっ…

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