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彼女に会ったのは、入学式の時だった。
俺はテヒョンアとジミナと一緒にいて、ユンギヒョン達をまってた。
そんな時に、テヒョンアとジミナがどこかへ行ってしまって、俺は1人階段を降りようとしてた時だった。
ダッダッダッダッ
ドンッ
そんな声が聞こえて、見上げると、透き通るような肌に、大きな目、赤い唇、、
今まで、見たことのない美しい女性が立っていた。
あんたは大丈夫なの?なんて、柄にもなく聞こうとしたら、聞こえてきた声
そんな声に遮られて、彼女はその男の元へと走って行ってしまった。
去り際に
って、笑って言ってから。
みんな、そんな話をしてた。
高校生活楽しみだとか、やりたい放題だぞ、と
か、いい女いるぞ、とか。
そんなの正直どうでもよかった。
ただ、俺の頭をよぎってたのは、あの可愛い笑顔の彼女だけだった。
名前も知らない彼女を、俺は今でも好きなのだ。
なんだろ、喋ったことないからかな。
今まで、抱いてきた女はまぁ、それなりにいい女ばっかりだった。俺、結構見る目あるし。テヒョンアとかと違って、誰でもいいわけじゃないから。
でも、一度も恋愛感情を持ったことがない。少なくとも俺が片思いなんて、生まれてこのかた一回もない。
そんな俺が、ただ階段でぶつかった女を好きになるなんて、どうかしてんだな。疲れてたんだな。
そう言い聞かせて、俺はまた今日も学校へ向かった。
リムジン内
爺「ぼっちゃま、どうかいたしたんですか?」
爺「坊っちゃまには、6人のご友人がいらっしゃるのでは?」
爺「では作ればいいのです。坊っちゃまならできますよ」
なんか、そんな言葉も聞き飽きた。
爺「かしこまりました。どうぞ、坊っちゃま」
リムジンから降りると聞こえてくる黄色い声
本当うるさいな。毎朝毎朝。飽きないの。
上を見上げると、ふと外を覗いていた彼女と目があった。
……、なんか今日はいい一日になりそう。
たった目があっただけなのに、そう思える俺は単純だな。
ちょっとテヒョンアにムカついたけど、放課後、タピオカを奢らせることにした。
放課後
俺達はそんな話をしながら店に入った。
席を取ろうと思って、座った場所に落ちていた俺達の学校の、生徒手帳。
中を開くと、そこにはその持ち主の写真と名前とクラスと、、、
個人情報だった。
そこに写っていたのは紛れもなく、俺の片思い中の彼女だった。
ねぇ、これは神様が俺にくれた、君に近づくためのチャンスだと思ってもいいのかな
俺、こんなチャンスを逃したくない。
君が、好きだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。