スタジオに入ると、
今日は少しだけ人が多かった。
AMPTAK×COLORSだけじゃない。
有名なグループばかり。
一気に緊張が増す。
そう声をかけてくれたのは、
けちゃくんだった。
ちゃんと目を見て、
ちゃんと話してくれる。
思わず、ほっとする。
今のところ、
唯一ちゃんと会話できる人。
一方で…。
あっとくんは、
私を一切見ない。
資料を渡しても、
無言で受け取るだけ。
完全に、
雑用係として見られてる感じ。
割り切るしかない。
そして——
一番、空気が冷たいのは…
ちぐさくん。
AMPTAK×COLORSのリーダー。
メンバーの中で、視線が一番鋭い。
低い声で言う。
それだけ。
言葉は少ないのに、
距離を突きつけられてる感じがする。
合同リハが始まる。
私は端っこで、
スケジュールと進行表を確認。
からぴちのメンバーが
楽しそうに話してるのを横目で見る。
いんくも、ぷちひなも、
それぞれの空気がある。
たまちゃんが、
通りすがりに声をかけてくれた。
優しい人、多い。
でも…
AMPTAK×COLORSの空気は、
まだ固い。
あっとくんに言われて、
箱を抱える。
重い。
でも、
嫌じゃなかった。
推しの役に立てるなら、
それでいい。
移動の確認。
ちぐさくんが、
ちらっと時計を見る。
短い。
でも、
返事があるだけ、
昨日よりマシ。
少しして。
けちゃくんが、
小声で話しかけてきた。
……見てくれてたんだ。
そう言うと、
けちゃくんは少し笑った。
その言葉が、
胸に残った。
休憩中。
控室の隅で、
資料を整理していると。
低い声。
顔を上げると、
ちぐさくん。
言いかけたけど。
それだけ言って、
去っていった。
心臓が、
少しだけ落ち着く。
その日の終わり。
社長が現れて、
全員を集めた。
一瞬、空気が変わる。
ザワ…
AMPTAK×COLORSも、
他グループも、
一斉に緊張した顔になる。
……え。
私?
視線が、
一気に集まる。
あっとくんが、
はっきり言った。
警戒の声。
ちぐさくんも、
黙ったまま、こっちを見る。
信頼は、
まだない。
でも。
自分でも驚くくらい、
はっきり言えた。
沈黙。
けちゃくんが、
小さく頷いた。
それだけで、
十分だった。
ツアーライブ。
推しの、
一番近い場所。
でも今の私は、
ファンじゃない。
——マネージャーだ。


























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。