あの日から、魔王様の目がまっすぐと見れない。
だって俺の腕の中で冷たくなったんやもん。
俺の腕の中で泣いたんやもん。
こんなつもりじゃなかったのに。
寝れてない。軍隊をもう一度作り直すことが俺の仕事。なんと言われようと魔王様の命令だから逆らえない。逆らう気もないけど。
こんなことしたら、スパイがたくさん入ってくることは明確で、まあ、そのスパイかどうかを見分けるのも俺の仕事っちゃ仕事なんだけど……
めんどくさい。
それが本音。
目の前には数千人規模の軍隊希望者が。
熱狂的な魔王派の人間もいる。だが皇帝派もそれと同じくらいの数紛れているだろう。
マイクを通して彼らに伝える。
なぜ感謝する必要が?…うーん、まぁいいか。
どよめきも、悲鳴も、怒号も、困惑も、全て、聴こえないふりをしたかった。
ベッドに横たわって、手を天井に向けて伸ばす。後悔してないわけじゃない。でもあの判断は最適だったと今も思ってる。なのにこんなに苦しいのは、魔王様がその事実を苦しがっていたから。
ガタガタと窓が揺れる。
あの日のことを思い出す。あぁ、こんなこと普段ならないのに。
黄緑色のペリドットが光る。
なにか気づいたような声を上げた彼は、もう、口を開けることはなかった。反抗的な目でこちらを見つめていた。
その言葉に酷く苛ついた。
バールを持つ手を振り下ろす。その景色が、彼にとって最後の景色になっただろう。









![[参加型?]空の上で最後の遺言を、](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/fLidrLhRSUUik4ZkTr7M83BhU0V2/cover/01KCTXMWS5RZ2WT40YN9XJ0C3Y_resized_240x340.jpg)



編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。