第19話

17 歪影
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2026/01/04 05:00 更新

施設内に入り、帝襟さんの背中を追って歩いていると、やがて一つの扉の前で足が止まった。

帝襟アンリ
帝襟アンリ
ここです

短くそう告げられ、彼女の指先が示した先には「モニター室」と書かれたプレートがある。
扉を開けた瞬間、低く唸るような機械音が耳に届いた。

室内の壁一面には、無数のモニター。
それぞれが別々の場所を映し出し、施設の廊下や部屋、トレーニングルームなどを静かに監視している。
光の粒が集まったその光景は、どこか落ち着かず、長く見ていると目が疲れそうだった。
帝襟アンリ
帝襟アンリ
絵心さん

帝襟さんが声をかけると、部屋の隅でモニターを眺めながらカップ焼きそばを食べていた男性が、ゆっくりとこちらを振り返った。

黒縁の眼鏡。無造作な雰囲気。
帝襟さんより少し年上に見えるその人は、片手を軽く挙げる。
絵心
絵心
ん?……ああ、君たちが?
あなた
……はい。呪術高専二年の、糸師です。
私が名前を言ったのと同時に、後ろから勢いよく声が飛んできた。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
一年の虎杖悠仁です!よろしくお願いします!

虎杖くんらしい、場の空気を一気に明るくする挨拶。
それを聞いた絵心さんは、一瞬だけ目を見開き、すぐに興味深そうに口元を緩めた。
絵心
絵心
へぇ……思ったより、ずいぶん若いね

テーブルにカップ焼きそばを置き、こちらに向き直る。
その仕草ひとつで、部屋の空気が少し引き締まった気がした。
あなた
それで……最近、何か異常は?

事前に資料で把握していた内容ではある。
けれど、実際に現場にいる人の口から聞く意味は大きい。
帝襟アンリ
帝襟アンリ
監視システムが、少しおかしくて。普段から確認はしているんですが……今回は、明らかに変なんです
虎杖悠仁
虎杖悠仁
変?
虎杖くんがすぐに反応すると、絵心さんは言葉を区切り、モニターの一つを指差した。
絵心
絵心
これを見ろ

映し出されていたのは、薄暗い廊下。
一見すると、何の変哲もない光景だ。


──けれど。


目を凝らすと、廊下の奥で、何かが揺れている。
空気が歪むような、輪郭の曖昧な違和感。
絵心
絵心
最近、こういう映像がよく出る。何かが意図的にカメラを誤作動させてるみたいでな。映像が飛んだり、画面がいきなり暗くなったりする
あなた
……なるほど
短く返事をしながら、胸の奥がわずかにざわつく。
あなた
(…呪霊の影響でモニターの通信システムがバカになったってことか)

ちらっと虎杖くんの方を見ると、彼も同じようにモニターを睨んでいた。
あなた
虎杖くん、早速行こっか
虎杖悠仁
虎杖悠仁
おう!

虎杖くんは迷いなく頷き、軽い足取りで扉の方へ向かう。





私もそれに続こうとした、その時──


絵心
絵心
ちょっと待て

声をかけられて、振り返ると、絵心さんがモニターから目を離し、こちらを見ていた。
絵心
絵心
すぐに向かってくれるのは有難いが、
その前にひとつだけ頼まれてくれ

絵心さんの言葉に帝襟さんが小さく頷き、補足するように口を開く。
帝襟アンリ
帝襟アンリ
選手たちは、あなたたちのことをまだ知らないんです
絵心
絵心
だから

絵心さんは、軽く肩をすくめてから、モニター群を指差した。
絵心
絵心
自己紹介をしてくれ。先に自己紹介しておいた方が、後々やりやすい。

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