先輩、あなたに気付かれると
いろいろと面倒なので恋沙汰には
永遠に鈍くいてくださいね。
新幹線…京都行きの片道切符。
この時期にしては桃の襲撃が
少なく、お盆明けで休んでた
人が帰ってきたから、休暇は
それなりに取りやすかった。
…数週間ぶりに会える。
初めて恋人同士という関係で
私は京夜くんと、会う。
猫を波久礼に預け、
桃がいないかを確認した後、
新幹線に乗る。
あ〜…私の実家も見ようとすれば
見える位置にあるんだっけ。
まぁでも、防風林があるから
見える範囲にあったとて、
家は見えないか。
待ち遠しい2時間半を過ごして
ようやく着いた京都駅。
付き合って数週間。
告白してきたのはもちろん
京夜くんのほうから。
私も二言OK。
数週間後にわりと大きな
花火大会が開催されるなんて
偶然…あるわけないよね。
計算し尽くしてたんだ。
京夜くんは賢いな…恋沙汰は特に。
コロコロ変わる表情に
すんなりと出てくる愛言葉。
私にないものばっかりで
出来てる京夜くんを
羨ましく思う。
でも、感情はひとつだった。
花火球が空に昇る。
風を切る音がだんだん
高くなって、真っ暗な空に
光の柱がひとつ立った。
気になるなぁ、と言う前に
花火が開いて聞けなかった。
すっごく綺麗だった。
赤と青と紫と緑も見える。
暑いはずなのにどこか涼しい
今この瞬間が好き。
星が泳いでるみたいに見えて
願い事をしてみたくなる。
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8月21日 . 好きな人と花火
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。