srp side
たまたま、あなたの下の名前の部屋の前を通った
運が良かったのか悪かったのか
「 誰ですか? 」という言葉が、確かに聞こえた
一緒に居た叶さんは、大きく目を見開いて、手を震わせながら立ち止まっている
多分、俺も同じ様な顔をしているだろう
ちょっとやり過ぎてしまったのか
....いや、確実にやりすぎた
揶揄ったり塩対応をした時だけ見る事ができるギロリとしたあの顔が大好きだった
顔だけじゃない
声も、性格も、戦ってる姿も、全部
...流石にキモいか
でも、キモくなるくらい好きだったのは事実
泣きたいのは同じだけど、俺に泣く資格なんて無い
俺があなたの下の名前をああした様なものだから
次会ったときは、何て話したらいいんだろ
knmt side
あなたの下の名前が記憶喪失になったらしい
最後に話したのはいつだったか
最後に放った言葉は何だったか
ただただショックで引き篭もっていて、頭が回らない
全く思い出せない
ただ、今でも鮮明に覚えているのは____
あの言葉だけ
ボロボロだった僕を拾ってくれた彼女の、僕の印象
今思ったら、凄い態度を取っていたなと思う
恩人相手に....、最低だな
最近はやっとご飯を食べれるようになってきたけど
やっぱり部屋から出る事ができない
謝っても、許してもらえる事じゃないよな
本当に......、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。