AM 8:28
あと2分。
1年生の教室は、3階にある。
これは、、さすがにもうダメかな
颯太「はい、簡単に諦めない!」
私「ねぇ、なんで私の心読めんの?」
颯太「顔に書いてある(笑)」
私「顔!?」
颯太「ほら、走るぞ!」
階段を駆け上がっていく颯太
いやいや、
無理だし
私「颯太、先に行って!」
颯太「ここまで来て諦めんなよー」
私「いや、まじで無理だから」
本当にもう限界。
自分の体力のなさに呆れる
私「颯太なら間に合うでしょ!」
颯太「……じゃあ先行くぞ!」
私「うん!自転車、ありがとね!」
颯太「はいよー」
そう言って颯太は階段を軽く駆け上がっていった
ーーーーーーキーンコーンカーンコーン
あ、チャイム鳴っちゃった
でも颯太の足なら間に合っただろうな
私はもう疲れて走れないから
1つ1つ階段を歩いて登っていく
もう少し体力付けなきゃ、、、
ようやく3階に繋がる階段に差し掛かったその時、
颯太「おっそ(笑)」
そこには、
壁に寄りかかる颯太の姿が、、、
私「え、なんで、、、」
颯太「べつに、俺も疲れたから休んでただけ」
颯太ってさ、素直じゃないけど、
めっちゃ素直じゃないけどさ、、
こういうとこ、優しいんだよ
颯太「じゃ、部活でな!」
私「あ、颯太!!!
ありがとう!!!!!」
颯太「ははっ(笑)何が?てか声でかすぎ。」
あー、ダメだ私。
好きかも
じゃなくて
完全に好きだわ
しかも相当、重症なやつ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。