エミリ「ねぇ〜いいじゃん、誘おうよ!」
あなた「や、ほんとに話せる様な関係じゃなくて……!」
お昼休み。
お弁当を食べながら、話題は赤司先輩と黒尾先輩について。
どちらかを遊びに誘って、お近付きになりたいんだとか。
あなた「大体、黒尾先輩には彼女さんがいるでしょ?」
ユウヒ「あー、西園寺先輩ね、あれは敵わないわ。可愛すぎるもん。」
エミリ「ってか綺麗だよね!じゃあやっぱり赤司先輩!」
あなた「そういう事じゃなくてね?」
ったく…………、
というか、黒尾先輩の彼女さんは皆知ってるのか。
当たり前だけど名前を聞いてもピンと来なくて、だけど人の容姿に関しては特にズバズバ物を言う2人がこの反応という事は相当な容姿端麗なんだろう。
黒尾先輩と美人の先輩……絵になるなぁ。
エミリ「向こうにも2人誘ってもらってさ!3対3で行こうよ!」
あなた「ん"、私も行くの!?」
ユウヒ「当たり前じゃん。ちょっと大丈夫?」
思わず箸を床に落としてしまって、慌てて拾い上げる。
洗ってくるからと伝えて教室を出て、やっと一息。
力ならまだしも、流石に赤司先輩と遊びにとか……絶対身が持たない。
エミリ達可愛いんだし、誘ったら来てくれそうだけどな……。
まず会話をする関係に普通はならない、らしい。
ガララ、
あなた「!」
教室から出てきたのは横山さん。
学校を案内してもらって以来、あまり話してはいなかった。
エミリ達のグループと、なんだか少し違う感じ。
元から好んで人と関わるタイプでは無さそうだし……。
横山「学校には慣れた?」
目が合って、話しかけようかと迷っていたのが伝わったのか声をかけてくれた。
頷くと、「良かった。」と微笑んで歩き始める。
あなた「っさ、最近さ……!お弁当早く食べ終わってどこか行ってる、よね?」
横山「……知ってたの?」
あなた「え、うん……5時間目間際に帰ってきてるから、」
横山「体育祭の看板作ってるの。一応有志でやるんだけど、どうせ人集まらないと思って。」
……そっか、横山さんは学級委員だから。
確かに、エミリやユウヒはそういう事に関わらなさそうだけど……。
あなた「え、1人でやってるの……?」
横山「うん。絵は得意な方だし、1人の方が集中できるから。」
確かに、それはそうかもしれないけど……。
あなた「そ、それって放課後とかもやってる?」
横山「そうだね、基本は放課後にやる物だから。間に合うように昼休みもやってるってだけで。」
あなた「私が手伝いに行ったりしたら……邪魔かなぁ、?」
横山「え?」
キョトンとした顔をした横山さんは少し考えて、やっと言葉の意味を理解したかの様に目を見開いた。
横山「そりゃ、花野井さんが来てくれたら助かるけど……。」
あなた「ほんとっ?部活もまだ入ってないし、放課後時間できちゃってたから……行ってもいいかな?」
横山「本当に来てくれるの?」
あなた「横山さんともっと話してみたいと思ってたの!」
横山「っ……、」
照れ臭そうに視線を逸らして、「じゃあ、お願いしようかな……。」と呟いた。
まだ美術室の場所も曖昧なので、放課後一緒に行くことに決めてお別れ。
箸を洗って教室に戻ると、「おそーい!」と頬を膨らませた2人から再度赤司先輩の話を盛り返された。
だから、誘える様な関係じゃないんだって……。
とりあえず「次話したら言ってみる。」と口約束をして、やっと解放。
次……があるのかは、分からないけど。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。