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第3話

「2人共、私と交流してくださいっ!!」
95
2024/04/03 12:00
―翌朝
ブライア
皆おはよう!よく眠れたかな?
公民館の前に集まったアカデミー組。
目の前にはブライア先生と、管理人さん。
そしてスグリとゼイユがいた。
あなた
(スグリに会った興奮やらこれからの不安で一睡もできませんでした…!)
心の中で感想を言った。
本当に一睡もできなかった。ちくしょう。
あなた
ふあぁ………ん?
大きなあくびを一つ。
その時、こちらを見つめるスグリと目が合った。合ってしまった。
あなた
(やばあくび見られた!!)
焦って顔を逸らす。恥ずかしい。

チラリと横目でスグリを見ると、クスクス笑っていた。
そしてゼイユに「何笑ってんのよ」とツッコまれてる。
スグリ
な、なんでもない…!
私はそんなスグリを見て、逆にふふっと笑った。
ブライア
本日からブルーベリー学園の生徒も一緒に行動させてもらうよ。自己紹介をお願いできるかな?
ゼイユ
はじめまして、ゼイユです!
キュルリンと効果音が聞こえそうなほど、高い声で挨拶を始めるゼイユ。
あなた
(おいおい全然キャラちゃうぞ)
ゼイユ
よそも…アカデミーのみなさん、なかよくしてくださいね!うふふ!
あなた
(あーよそものって言いかけたね、あの子)」
内心めちゃくちゃツッコミを入れてみた。
そしてスグリの番。
スグリ
スグリ…です…
あなた
(コミュ症かわいっ…!!)
彼は天使だった。
涙出そう。つい口元を覆った。
管理人
ふたりはこの村の出身なんで、何かあれば助けてもらってください。…ちゃんと助けてあげなさいよ?
ゼイユ
はぁーい
スグリ
あ…え…
ぶっきらぼうに返事をするゼイユと戸惑うスグリ。
対称的な2人の姿を見て「微笑ましいなぁ」と笑みが溢れた。
管理人
えーそれでは、林間学校の課題を説明しますね
そして今回の林間学校の課題についての説明が、管理人さんから伝えられた。
もちろんストーリー通りで、変わらず。
二人一組で看板を回るオリエンテーリングだった。
管理人
…ということで、できるだけほかの学校の生徒とペアを組んで交流するようにね
説明が終わり、ペアを決める時間。
すぐにでもスグリのところに走っていきたいけど、昨日のことは伏せていかなきゃな…
なんと声をかけに行こうか考えていたところで、
何故だろうか、スグリがこっちに向かってくる。
スグリ
あなた
あなた
あなた
あ、えと…
隣にはゼイユがいて、腕を組んで私を見下ろしている。
え、な、なに?

スグリは気まずそうに言った。
スグリ
あの…ねーちゃんにバレちまった…
あなた
え゙っ!?バレたの!?
思わず声を大にして言ってしまった。
早いよさすがに!バレるのが!
ゼイユ
だってこの子、玄関から堂々と帰ってくるんだもの
スグリ
ボーっとしちまってつい…
あなた
あちゃー…
そういうことか。それは、うん…仕方ない。
ゼイユ
よそ者があんまり人の里でウロチョロしないでくれる?
あなた
す…すみません…図鑑埋めがしたくてつい…
ゼイユの冷たい視線が刺さる。言い返す言葉もない。
スグリ
ねーちゃん!そんな言い方…
あなた
いいの!私も…乱獲っぽくて良くなかったよね…犯罪者みたいで……
ゼイユ
そこまでは言ってないわよ!?
あなた
えっ
そこまで言ってそうな勢いだったから、つい。
スグリ
昨日はありがとな
あなた
こちらこそ!楽しかったねっ
本当に楽しい時間だった。
思い出すだけで嬉しくて笑みがこぼれる。
スグリ
う…うん…おれも、わや楽しかった…
照れくさそうに頬を掻きながら言うスグリ。
ゼイユはそんなスグリを見てニヤニヤしている。なんやねん。
あなた
あ、ゼイユさんも
ゼイユ
え?
あなた
昨日はありがとうございました!楽しかったです!また勝負しましょうっ!
スグリだけじゃなくゼイユにも愛を伝えないとね!
そう思い、私はゼイユの手を取り笑顔を向けた。
ゼイユ
………あんた…人たらしって言われない?
あなた
え、うーん?
それは初耳だ。
ゼイユ
ま、いいや…で?
あなた
え?
ゼイユ
あたしらに言うこと、あるんじゃない?
あなた
(言いたいこと……言いたいこと………ハッ!!!)
ハッとした。そう、交流しなくては。私は。
でもできれば2人とも交流したい。ストーリーが進めば交流するのはわかってるんだけど…
スグリ
ちょっとねーちゃん…あんまりあなたにいじわるしな…
スグリが何か言っていたが気にせず、私は2人の手を取った。
スグリ
ゼイユ
あなた
2人共、私と交流してくださいっ!!
秘技!両手に花!と頭の中お花畑全開で唱える。
幸せすぎてとけそうだ。今ならどこまででも逝けそうな気さえしてくる。
ゼイユ
じっ…自分から来るとは感心感心!
多少動揺しているゼイユ。ちょっと勝った気分になってニヤニヤしてしまった。

するとゼイユは、何かを思い出したようで、「そうだ」と呟いた。
ゼイユ
昨日からスグがあんたに夢中なのよ
あなた
!(おぉ!そんな気はしてた!)
ゼイユ
家でもあんたのことばっか話してて、本当うるさいったら…
スグリ
バカ!ねーちゃん!なんで言うの!!
ゼイユの言葉を慌てて静止するスグリ。
残念ながらしっかり聞いちゃいました。
ゼイユ
誰がバカだ!手ぇ出るよ!
スグリ
うぅぅ…
ゼイユ
あんた達、昨日少しは仲良くなったんでしょ?せっかくだし、あんた弟と勝負してやってよ
あなた
勝負…?
スグリとの勝負。
確かに、そんなイベントがあった気がしてきた。
ゼイユ
そ!どう?
あなた
(スグリと……勝負っっ!?それは幸せすぎるでしょう!!!)
やる!やるやるやります!
私はバッと片手を上げ、勢いよく返事をした。
そしてゼイユにすべてを明かされ項垂れるスグリを、下から覗き込む。
あなた
スグリくん!勝負しよう!
スグリ
え!?わ、わやじゃ…い、いいの!?
スグリの目がキラキラしている。
そうかそうか、そんなに私と戦いたかったのね!
あなた
うんっ!スグリくんのポケモンも見てみたいもん
スグリ
〜〜〜っっ!!
嬉しいのか、言葉になってない彼にふふっと笑みが溢れた。
ゼイユ
それじゃ、位置につきなよ。みんなも場所あけてやって
そして位置につき、スグリと向き合う。
スグリ
おれ…けっぱるね!
ナマけっぱるありがとう!!!!
あなた
(神様よ…!)
私も!けっぱります!
その言葉を言うと、スグリは顔を赤くし目を丸くした。
言ってみたかったんだよね!けっぱる!
ゼイユ
じゃあ…はじめっ!
私はいつも通りのルーティンを行い、ボールを構えた。

ここからは真剣勝負だ。
スグリ
いけ!オタチ!
あなた
(オタチか〜まだまだパワーで押せるかな〜)
パーモット!君に決めた!
ボールから出てきたパーモットを見て、スグリは「わやじゃ!パーモット…!」と呟いた。
キタカミにはいないもんね。
あなた
パーモット、…暴れていいよ
申し訳ないけど、強さを見せつけるのが先だ。

私のパーモットは容赦なくスグリのオタチに食らいついていった。
ゼイユ
勝者ミホ!
最後のポケモンを倒し、私は繰り出していたラウドボーンをボールへ戻した。
あなた
私の勝ちだね!
そして決め台詞。
スグリ
わやじゃ…
私は呆気にとられるスグリの元へ駆け寄った。
あなた
スグリくんお疲れ様!ありがとう!
ブライア
交流試合お疲れ様!青春がストライクだね!
あなた
(青春がストライク……)
ブライア先生語録が飛び出す。
その言葉でスグリはハッとした。
スグリ
やっぱわやじゃ!強い!ミホ凄い!
あなた
そ、そおかなぁ…スグリも強かったよ
スグリも素直なものだ。少し照れながら言った。
スグリ
わやじゃ!そ、そうかな…?
ゼイユ
スグはあたしの次くらいに強いのに、なかなかやるわね
スグリ
むぅ…
あなた
えへへ…ありがとうございます
(ナマむぅ…!!!!)
ナマむぅに心を焼き尽くされながら、私はゼイユにお礼を伝えた。
ゼイユ
オリエンテーリング…だっけ?二人組でやるやつ
あなた
ゼイユ
あんたさ、あれ、スグとペア組んであげてよ
あなた
!(わ、き、きた!)
突然の申し出。
少し戸惑ったけど、内心ハピハピだ。
スグリ
え!?ダ…ダメ!
ゼイユ
なーにがダメよ!あたしら組んでも意味ないし。ミホ以外のよそ者とやんの?
あなた
よそ者…
ゼイユ
あん?なんか言った?
あなた
イイエナニモ!
もうだいぶ化けの皮が剥がれてるよゼイユ。
スグリ
それは…うぅぅ…
ゼイユ
ちなみにコレ、照れてるだけね
項垂れるスグリ。
いや、照れ方可愛すぎない?
ゼイユ
あたしはテキトーにやるから、弟のことお願いね
あなた
あ…はい!スグリくん、よろしくね
スグリ
う…うん
渋々と私の握手に答えるスグリ。
私はもうニッコニコだ。
管理人
スムーズにペアが決まったようですね!それではみなさんのスマホロトムに看板の場所を登録しましょう!それではオリエンテーリング開始でーす!
かくしてオリエンテーリングは、幕を開けたのだった。

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