第3話

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2023/02/18 05:10 更新
あれから家の荷物を移動して完全に引っ越し、そして4月に入り、今日入学式を迎えた。

知り合いが1人もおらず、周りがグループを作る中、ポツンと自分の席に座っていた。

人見知りというわけではないのだが、なんとなく輪に入りにくい…

音楽でも聞こうとスマホとイヤホンを取り出す。


と、
???
あの…
…ん?
前の席に座っていた子が話しかけてきた。

中性的な顔立ちで、眼鏡をかけた男の子。
???
あ、ごめんね、音楽聞こうとしてた?
あ、いや… 全然大丈夫だよ。
???
そうなんだ。
あの、よかったら入学式の時間までお喋りしない?
あ、うん、いいよ。
???
ほんと? ありがとう!
あ、俺、阿部亮平。 よろしく!
俺は岩本照、よろしく。
にっこりと笑う阿部と、出身中だったり趣味だったりの話をした。

阿部は千葉の中学に通っていて、家の事情でこの春から東京に住むらしい。

埼玉から移住した俺とよく似た理由だった。

家族構成は父と母と、弟が1人…
亮平
あ、ごめん、2人だ2人。
え、何で兄弟の数忘れてんの?w
亮平
いや、実はまだ会ったことなくて…
え? どういうこと?
亮平
俺の母親と弟の父親が再婚してるんだ。
だから父親と弟とは血繋がってないんだよね。
亮平
で、その弟にも義理の兄弟がいるんだけど、訳あって一緒に暮らせないらしくて…
戸籍上は家族なんだけど、まだ会ったことないの。
へー、結構複雑なんだな。
亮平
まぁね。
あ、でも、弟が中学2年生なんだけど、
すごく可愛くて、人懐っこくて、
大好きなんだぁ。
そうなんだ。
亮平
岩本くんは?
兄弟とかいる?
あ、うん。
実は俺も親が再婚してさ、
父親と兄ができたんだよね。
亮平
え、そうなの?
うん。
兄貴は年が一つ上で、学校もここなんだ。
亮平
そうなんだー。
なんか、凄い偶然。
だな。
あまりないんじゃない?席が前後で2人とも親が再婚して家族が増えたなんて。

阿部自身とは趣味はさほど合いそうじゃなかったけど、

いやだって、趣味謎解きとか勉強だってよ?

そこまで勉強得意じゃないしなー、俺…

俺自身は筋トレとか好きだけど、阿部も体力には自信ないみたいだし…

でも、何となく、“親が再婚したもの同士”という意識が互いにあって、

俺はその日初めてクラスの子と連絡先を交換した。

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