夜の散歩から病室へ戻った翌日、
るきなの周囲がにわかに騒がしくなった
普段、見舞いなど一人も来なかったはずのその場所に、
数人の男女が姿を現したのだ
そう言って、
さも親しげに病室に入ってきたのは、
かつて彼女を "地味で暗い" と笑っていた大学の同級生たちだった
その後ろには、入院費を渋り、
彼女を "お荷物" 扱いしていたはずの母親も立っている
俺は部屋の隅で、透明な姿のまま彼らを冷ややかに眺めていた
彼らの視線の先にあるのは、るきな本人ではない
入院着の背中を盛り上げ、
時折隠しきれずにこぼれ落ちる、真珠のように輝く羽の破片だ
吐き気がした
彼らは "天使病" の希少価値に群がっているだけだ
珍しいもの、美しいものに関わっている自分に酔いしれている
それが、どれほどるきなの心を削っているかも知らずに
ベッドの上で、るきなが震える声で言った
だが、彼らは聞こえないふりをして、
偽りの愛の言葉を投げつけ続ける
その言葉が響くたび、
るきなの背中の羽が激しく波打ち、彼女の体力を奪っていく
俺は我慢できず、彼らの耳元で、
死神にしか出せない不協和音を叩きつけた
突然の寒気と原因不明の不快感に、
彼らは顔を青くして部屋を飛び出していった
静まり返った部屋で、
るきなは糸が切れた人形のように倒れ込む
俺は彼女を抱き上げ、その耳元で低く囁いた
るきなは涙を流しながら、俺の腕の中で頷いた
彼女が俺に依存すればするほど、
俺の愛は深く、重くなっていく
そして比例するように、
彼女の背中の羽は、
今や部屋を埋め尽くさんばかりに、残酷な美しさを完成させていった
神の鐘が、また一回、重く鳴った
"仕事" の日が、ついに明日へと迫っていた













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。