これは、ずっとずっとそのまた昔…あなたの下の名前が5歳の頃のお話。
道理で何か知っている気がした。
あの人の名前も何もかも知らないけれど、何か初対面ではない感じがしていた。
まさか、私の友達だったなんて。でも、どうして?
なんのためにあなたはそこに居るの?
ゆきむら。目線
僕があの海の見える場所であなたの仮の名前を待っていると、
まだ少しいつもの時間よりも早いのにあなたの仮の名前が歩いてきていた。
僕の近くに来たかと思えば急に隣に座る。
そして、僕の目を見つめて一言。
そう言ってあなたの仮の名前はそのアルバムを見せてくれた。
そのアルバムにはあなたの仮の名前が言った通り僕が写っている。
ずっと昔から僕はあなたの仮の名前のことは本名で呼んでいなかった。
だからただ忘れていただけ。
僕は全身の力が抜けたような感覚になった。
これが安心というやつだろうか。
僕は心のどこかで昔のあなたの仮の名前が死んでしまったことも、
あなたの仮の名前が記憶喪失になったことも、受け止めきれていなかったのかもしれない、
まだ何か希望がある。そう、思っていたのかもしれない。
僕がそう言った時、張り詰めていた糸が切れたのか、
死ぬように眠りについてしまった。 まだ聞きたいことが沢山あったのに…
僕は隣に座っているあなたの仮の名前に体を預けながら眠ってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。