濱ちゃんと淳太君と照史君は3人で、望と流星は二人で手を振って先に帰っていった。
僕は神ちゃんと、いつも通り二人で歩く。
神ちゃんがそう言って、駅までは遠回りになるいつも通った道を指さす。
なぜか、帰りたくなくて、
ここにずっといたくて、
二人でのんびりと川沿いの道を歩いた。
神ちゃんには、いろんなことを教えてもらったな。
ダンスのことも、歌のことも、電車の乗り換えとか、
せや、ロッカーの使い方まで。
舞台の時は、毎回お互い熱くなっていろんな話をした。
そう言ったら、神ちゃんは「え?」ときょとんとした。
たった一言、言葉にすればそれだけやけど、
神ちゃん、
神ちゃんはさ、俺に出来た、初めての親友なんやで。
神ちゃんはね、
俺を変えてくれた人なんやで。
そんな言葉は、照れくさくてどうしても言えなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!