第68話

桐山side
906
2018/09/17 14:42
重岡
・・・照史君?どうしたん?
心配そうな声が聞こえる。

場の空気が変わってしまって、他のみんなも僕の周りによって来る。



今、僕のそばにいてくれるのは、


僕とちゃんと向き合ってくれた人。

ちゃんと叱ってくれて、



いつだって、


見捨てずにいてくれた人。




桐山
・・・ありがとう・・・っ・・

みんなのおかげで、俺・・デビューできる・・
涙ながらに言うと、しんみりとした空気が流れた。

桐山
しげ・・ありがとう・・。
あの時しげがかばってくれへんかったら、多分俺はここにはおらへん。

ーだからありがとう


そんな気持ちを伝えると、全員がこそばゆいような、そんな表情になった。



だって、あの日のことは、もうみんな忘れたかったから。


僕ももう、終わりにしよう。



あの日つけてしまった傷は、癒えないかもしれない。

自分についてしまった傷も、きっと、消えないかもしれない。



それでもきっと、この傷はいつか役に立つはずやから。


きっといつか、この7人なら笑い話に変えられるはずやから。




桐山
今度は俺が、しげを守りたい。頼りないけど、しげのことを、守っていきたいねん。
そう言うと、しげは柔らかく笑った。

重岡
照史君は、これまでもずっと、僕のこと守ってくれたよ


そう言って、照れくさそうに、自慢の笑顔を見せる。



ああ、もう何度、しげに泣かされたんやろう。


今日もまた、

「照史また泣いとる」

「ほんま照史君泣き虫やなぁ」

なんてみんなの声がする。





ここに僕がいれるのは、



間違いなく、みんなのおかげ。




こんな僕やけど、これからも、よろしくな。

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