第3話

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2024/04/02 15:23
「おじゃましまーすっ!」
「お邪魔します。」
同じ言葉なのに、それぞれの
らしさが浮かぶ台詞を聞きながら、
ただいま、と言葉を落とす。
「あ、おかえり姉ちゃん。えっと…。」
「そう、あのね、この人たちが今朝言ってた人たちね。」
ふーん、と彼等をどこか
品定めするかのような目で見る利音。
「あ、あなたの下の名前の弟くん?」
「はい、黄瀬利音です。姉がいつもお世話になってます。」
「いや、どちらかといえばお世話されてる方だからな…。」
「あ、僕は前田繁樹まえだしげきって言います。ドズルって渾名があるのでそっちで呼んでください。」
「んで、俺は盆城秋潤ぼんじょうあきひろっていうのね。俺のこともぼんじゅうる、とかぼんさん、とかって呼んでね。」
「わかりました。なら、俺のこともおんりーと呼んでください。友人にはそう言われてるので。」
早速自己紹介をして、打ち解け始めている彼等を見て
微笑ましく思う。
そして、彼らの分の飲み物を用意しようと、
冷蔵庫から麦茶と、
棚からプラスチック製のコップを四つ取り出す。
それぞれのコップに麦茶を適当に入れ、お盆に乗せ運ぶ。
溢さないように慎重になるがあまり、
体が強張っているように感じた。
「黄瀬さん!僕がやりますよ!」
そんな私の様子に気付いたのか、
ドズルくんがこちらに駆けて来た。
それに甘えて、コップを二つ持ってもらうと幾分か
軽くなり運びやすくなった。
「黄瀬さんって言うから俺のことかと思った。」
利音がぽそりと呟く。
その言い方がなんだか面白い。
「確かにドズルくんって私のことずっと名字呼びだよね。」
「おんりーちゃんと混ざるし、この際渾名とか作る?」
ぼんさん、ドズルくん、おんりーと皆渾名なのに
私だけ名前なのは寂しいのでそう言ってくれた
ぼんさんに感謝しておく。
「えっと…あっ!」
「なんかいいと思いついた?」
「はい!あなたの渾名さんはどうですかっ!?」
あなたの渾名、あなたの渾名……。
心の中で彼の考えてくれた渾名を復唱する。
「うん、いいね。気に入った。」
「お!じゃあ今日からあなたの下の名前はあなたの渾名って呼ぶか!」
「なんか結構洒落てますね。」
私達三人の反応にドズルくんは、
満更でもなさそうに頬をかいていた。
「よし、ならドズぼん対姉弟でゲームしよ。」
「何しよ。」
「俺フォトナやりたい。」
「俺格ゲー以外苦手だよ?」
「利音が仲間の時点で私達の勝ちだからそう気負わないで」
「え、おんりーそんな強いの。」
「それほどじゃないですよ?ビクロイしたことくらいはありますけど」
「ナチュラルに自慢じゃないの?それ。」
「お邪魔しました!おんりーもまた遊ぼうね!」
「あなたの渾名もバイバーイ!」
「はい、また」
「楽しかったよ、ドズルくん。ぼんさんもバイバイ」
日もくれてきた頃、二人は手を振り帰路についた。
私達もそれを見送り、手を降った。
「利音、私明日出かけるけど留守番頼める?」
「それくらいなら平気だよ」
長い一日はあっという間に終わった。
うる
うる
急募終わり方
うる
うる
じゃなぁー

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