その後のことは、あまりよく覚えていない。
園内のレストランでランチを食べて、ゆるやかなアトラクションばかり選んで乗って。
お化け屋敷にも入ったはずだけど、どんな風に驚かされたのか記憶にない。
気づいたら空は夕焼けに染まっていて、私たちは最後に観覧車に乗ることにした。
向かい合わせに座っている三条くんの顔が、夕焼けに照らされている。
窓の外を見る横顔が、綺麗。
「そんなことないよ」って、言いかけたけど。
三条くんの言葉に、気持ちよりも先に反応した涙腺が、ポロッと涙を落とす。
声にならなくて、でも否定をしたくて、首を左右に振る。
だから、準備をしなきゃいけない。
ここは、私の世界じゃないから。
もうひとりの私に、返す準備を。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!