第18話

私のライバルは私
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2026/05/20 02:00 更新
その後のことは、あまりよく覚えていない。
園内のレストランでランチを食べて、ゆるやかなアトラクションばかり選んで乗って。
お化け屋敷にも入ったはずだけど、どんな風に驚かされたのか記憶にない。
気づいたら空は夕焼けに染まっていて、私たちは最後に観覧車に乗ることにした。
三条 彬
三条 彬
余計に疲れさせちゃったかな
三条 彬
三条 彬
新田をいたわるつもりでここに連れてきたはずなんだけど、普通に考えたら遊園地なんて疲れて当たり前だよな
新田 桃音
新田 桃音
!!
新田 桃音
新田 桃音
(私があまり喋らなくなったから、気をつかわせてる……!)
新田 桃音
新田 桃音
(最低。私、また自分のことばっかり)
新田 桃音
新田 桃音
ぜんっぜん! そんなことないよ!
新田 桃音
新田 桃音
最初のジェットコースターの吐き気がまだちょっと残ってるだけで、気持ちはずっと元気なの!
新田 桃音
新田 桃音
ずっとゆっくりしたものばっかり乗せてもらったから、かなり回復したし
三条 彬
三条 彬
そう? よかった
三条 彬
三条 彬
乗ってから言うのもなんだけど、高いところは怖くない?
新田 桃音
新田 桃音
うん、高いのは平気
新田 桃音
新田 桃音
平気っていうか、だいぶ好きかも
新田 桃音
新田 桃音
景色も、すごくいいよね
三条 彬
三条 彬
ああ
新田 桃音
新田 桃音
……
向かい合わせに座っている三条くんの顔が、夕焼けに照らされている。
窓の外を見る横顔が、綺麗。
新田 桃音
新田 桃音
(私たちはきっと、他の人からはデートに見えるんだろうな)
新田 桃音
新田 桃音
三条くん
三条 彬
三条 彬
ん?
新田 桃音
新田 桃音
こっちの私とは、こうやって出かけたことがあるの?
三条 彬
三条 彬
え? まさか。ないよ
三条 彬
三条 彬
もし誘ったとしても、断られるだろうしね
新田 桃音
新田 桃音
そ……
「そんなことないよ」って、言いかけたけど。
新田 桃音
新田 桃音
(最悪……)
新田 桃音
新田 桃音
(私のライバルが私、とか)
新田 桃音
新田 桃音
(少しも笑えない)
新田 桃音
新田 桃音
……こっちの私に、会いたい?
三条 彬
三条 彬
え……
新田 桃音
新田 桃音
(やり方は、多分……簡単)
新田 桃音
新田 桃音
(鏡のおまじない)
新田 桃音
新田 桃音
(こっちに来れたんだから、同じことをすればきっと……)
三条 彬
三条 彬
でも、そうしたら……君がいなくなるでしょ?
新田 桃音
新田 桃音
えっ? と、多分……、そうだね?
新田 桃音
新田 桃音
でも、元に戻るだけだし
三条 彬
三条 彬
だめだよ
新田 桃音
新田 桃音
だめ? なの?
三条 彬
三条 彬
だってまだ、俺は新田がちゃんと笑ったところ、見てない
三条 彬
三条 彬
言ってたじゃん。こっちには、逃げてきたって
三条 彬
三条 彬
その気持ちのまま、帰せないよ。幸せになってからじゃないと、俺が困る
三条くんの言葉に、気持ちよりも先に反応した涙腺が、ポロッと涙を落とす。
三条 彬
三条 彬
えっ!? ご、ごめん、俺、何か嫌なこと言った?
新田 桃音
新田 桃音
っ……!
声にならなくて、でも否定をしたくて、首を左右に振る。
新田 桃音
新田 桃音
(だめだよ、三条くん)
新田 桃音
新田 桃音
(好きな人以外にそんなこと言ったら、勘違いしちゃうよ)
新田 桃音
新田 桃音
違うの、悲しかったんじゃなくて
新田 桃音
新田 桃音
……嬉しい
新田 桃音
新田 桃音
私、こっちに来て、三条くんに会えたことが一番幸せなの
新田 桃音
新田 桃音
本当だよ
だから、準備をしなきゃいけない。
ここは、私の世界じゃないから。
もうひとりの私に、返す準備を。

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