私が引いた人は_
どことなく嬉しそうなヒロくんは、サッと出掛ける準備をした。
みんなに見送られて、玄関を出る。
ヒロ目線(※またしても話の都合故に男性目線です。)
横に並んで歩いていたはずのあなたちゃんが、ひょこっと出てきた。
そう言って笑う彼女に、つられて笑う。
その後、目的の小さなカフェで昼食を取った。
店を出たあと、何をしようか。と二人で適当に歩いていた。
他愛も無い話をしながら歩くのは心地が良かったが、もう少し何か考えておくべきだったと思う。
徹夜明けの彼女をあまり歩かせるのも良くないと思い、人気の無い公園を指差す。
ぴょんぴょんと跳ねるように歩く彼女を、少し可愛いと思った。
自分の分の珈琲を自販機で買ってから、彼女に尋ねる。
お金を入れようとしている俺に、慌てて彼女が言ってくる。
さっきも昼食の会計で自分の分を払おうとしてたな…と思い出した。
少し不服そうにしている彼女の頭を撫でてから、ココアを買って彼女に渡す。
少し肌寒いからか、ココアを両手で持ってから、ニコッと笑ってお礼を言ってきた。
それから二人でベンチに座り、また話をしていた。
暫く彼女の話を聞いていると、だんだんと彼女の声が小さくなった。
目を擦りながら言う彼女に、クスクスと笑いながら言う。
俺が言い終わる前に、彼女が俺の肩にポスッと寄りかかってきてしまった。
穏やかな顔で寝息を立てている彼女の頭を撫でる。
それから、自分の上着を彼女が起きないように脱いで、彼女の上にかけた。
起こせなかったのは、幸せそうに寝ている彼女を起こすことに罪悪感が湧いてしまいそうだったから。
でもその理由は、「もう少し彼女とこうしていたい」という願望に近い雑念を、包み隠すためのものだったのかもしれない。
✄------キリトリ------✄
閲覧ありがとうございました✿゚❀.(*´▽`*)❀.゚✿
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。