第20話

原因
1,197
2019/04/27 05:09
朝は時間が合えば一緒に登校していた。


その日は、一緒に登校するって決めてなかったけどたまたま会った。


「お、あなたじゃん。

おはよ。」


「おはようございますっ遥斗先輩っ!」


いつもと何ら変わらないの日常。


ごく普通の会話。


「今日、放課後なんかある?」


「いえ、何もないですっ

委員会も今日はないですよね?」


「ないない。

つか、それはあっても同じ委員会だし、一緒に帰れるじゃん。」


「そ、そうですねっ…!」


一緒に帰りたいって思ってくれてるんだ…。


私は先輩の言葉に一喜一憂して。


まさか、それもこの日で最後になるなんて。





「ー…では先生の話は以上です。」


「きりーつっ」


帰りの会が終わる。


「礼っ、ありがとうございましたー」


午後3時40分、下駄箱。


私たちのいつもの待ち合わせ。


「はぁっ、はぁっ…」


まだ、いないか…


時計を見上げると、まだ3時32分だった。


2分で下駄箱まで来ちゃった。


だって、早く会いたかったんだもんっ。


そーいえば…


一緒に帰るの、一週間ぶりかなぁ?


部活とか色々あって、時間合わなかったし…


そう思ったら一分一秒が長く感じる。


「先輩、まだかなぁ…」


まだ33分。


1分しか経ってないや。


もー、こうなったら先輩の教室に迎えに行っちゃおっ!


階段を駆け上がって、先輩の教室、6年5組に向かう。


6-1、6-2…6-3


6-4…


次っ!


「せーんぱー…」


「なに、あなたのこと?」


教室を覗こうとした時、中から私の名前が聞こえた。


遥斗先輩、友達と話してる…?


しかも、私の話…!?


え、なになに!?


めっちゃ気になる!


惚気話?


期待を胸に、ドアの横の壁に隠れた。


「そー、お前ら、まだ付き合ってんの?」


“まだ”…?


あぁ、そっか。


この前別れそうになったこと、友達には話してあるんだ。


「あー、まー…」


先輩は曖昧な返事をしながら、くくっと笑った。


「まだ、つーか、最初から付き合ってねーけどな。」


「…え?」


付き合って…


ない…?


どういうこと…?


「はっ、お前マジで悪いやつだなーっ」


教室にいた友達も一緒になって笑う声が聞こえる。


なに…?


意味がわからない…。


「あんなヤツ、遊びに決まってんじゃん」

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