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〜数週間後〜
あれから数週間、オレたちはついに大きなショーの公演を終えた。
観客をこの手で笑顔にすることが出来た喜びと感動で、胸の高鳴りを覚える。
皆からの拍手喝采、こちらに手を振ってくれる子供達、そして満面の笑みをうかべたお客さん。
やはり、何度見ても達成感は変わらない。
とても、気分が良かった。
やがて幕は下り、一旦水分休憩をすることになった。
この後には、ワンダーステージ特有の、キャストと観客とのふれあいタイムが待っている。
みんなの笑顔をもっと近くで見たい、というえむらしい提案からによるものだった。
えむ達に続いてオレたちも観客たちの元へ向かう。
オレたち4人がそれぞれ並んで話したい人から10に並ぶという、いわゆる握手会のような形のものだった。
えむの元には元気いっぱいの女の子。
寧々の元には、寧々と同い年くらいの物静かそうな女子高生達。
そして類の元には、類の演出に興味を持った男性たちが主に集まっていた。
オレは仲間たちの楽しそうな様子に感化されながらも、ふと疑問に思った。
あれ、おれのファンは…?
いつもはよく、小学生くらいの子供たちが集まってきてくれるのだが、今日は全く居ないどころか姿すら見えなかった。
まあ偶にはそういうこともあるだろうと考えていると、ふと知った顔が見えた気がした。
思わず2度見をすると、そこには毎公演のように見に来てくれるオレのファンの少年がいた。
そう言って、その少年に気軽に声をかけた。
しかし、何故か少年の反応は少しぎこちなかった。
すると、少年はそう言うと急に走り出し、親御さんのところに駆けて行ってしまった。
オレは、呆気にとられていた。
いつもは自分から近寄ってきてくれているはずの少年が、何故かオレを誤魔化すような感じで去っていってしまったからだ。
やはり、少し寂しかった。
どこか、ショーに不備でもあったのだろうか。
単に、オレのことが嫌いになってしまったのだろうか。
それとも、傷が見えてしまっていたのか。
いや、オレに限ってそんなことはないだろう!
オレは、そう暗示をすると仲間の元へ向かった。
…少し、後味が悪かった。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。