家に帰ってきた
5年ぶりに姉貴と会えた
流石に天国に言ってたか
姉貴の声があいつの声と重なってふと思い出してしまう
疲れたなと思いながらテーブルに突っ伏す
テーブルには金木犀の入った花瓶と
あいつが昔ぼくにくれたラジオが並んでる。
明日も仕事がある。
何か食べないと流石にぶっ通しで歌ってなんていられない
重い腰を上げてキッチンに向かう
髪をかきあげて結い上げる
窓から満月が見えた
あいつに教えてもらったステップを踏む
互いの手を取りながら踊ったあの夜を思い出して
冷蔵庫にかぶがあったの取り出してソテーにする
ベーコン、ガーリックを一緒にいれる
トースターにちょっと良い食パンを入れて焼いていく
おいしいなぁ〜
なんて思いながら食べてるとラジオからなにか音が聞こえた。
メーターや音量を調整してみる
まじかよあいつじゃねぇか
ふざけんなって、やっと離れられたってのによぉ
絶対あいつまた俺のこと殺しに来るって
まじかよ
だる
てかラジオの内容やばすぎんだろ
機械の向こうで悪魔たちの叫び声が聞こえてくるって
あいつさぁ、
うわぁご飯食べてたのに
え?
ラジオ終わったんだが
ピーンポーン
インターホンが鳴った
今ですか?
嘘じゃん
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。