二百十日

極楽を散歩中に地獄の様子をのぞいたお釈迦様は、カンダタという男を見つける。放火や殺人を犯した彼が生前、ひとつだけした良いこと。それは小さな蜘蛛を殺さずにいたことだった。お釈迦様は彼を救ってやろうと蜘蛛の糸を垂らしてやるが―――

暴君ディオニス王を殺害しようとしたメロスは、捕まり死刑を言い渡されてしまう。殺される前に妹の結婚式に参加するため、友人であるセリヌンティウスを人質として残したメロスは3日後の日没までに帰ってくることができるのか。

新聞記者の「私」は、空色のパラソルを持った美しい女が汽車に轢かれるのを目撃する。その女の身元を調べて記事にしたが、遺体を見た父親は「うちの娘ではない」と言いだして……？

山奥に狩猟にやってきた2人の紳士。道に迷った彼らの前に、一軒の西洋料理店が現れる。「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」という注意書きがあるその店の本当の姿とは―――？

高瀬舟は罪人を乗せて運ぶ舟。ある日、この高瀬舟に乗りこんできた弟殺しの罪人は、不思議と晴れやかな、楽しそうな顔をしていた。不思議に思った護送役が理由を尋ねると……