お昼も終わり私はずっと考えていた‥
廉に紫耀と体育祭の委員になった事
どう伝えようか‥‥
廉はきっと嫌な顔をするだろう‥
‥‥というか時々見せる不安そうな
弱々しい表情が頭に浮かぶ
ダメだ‥‥
思いつかない。
ふいに呼ばれた声にびっくりして立ち上がる
なぜかニコニコして言ってくる
彼に可愛いと思ってしまう自分がいる。
というかもうそんな時間か‥‥。
いろいろ考えすぎて後半の授業
まったく入ってこなかったな‥‥
どうしよ‥‥
廉に委員会の事まだ言ってないや。
いや、廉に会わないように
ばれないように行けば‥
‥‥‥そうですよね。
いつも登下校一緒だし
廉、いつも迎えきてくれるもんね。
浅く考えてた私がバカでした‥‥‥‥
教室の入り口で手を上げ早く帰ろうと
言わんばかりにこちらを見つめてくる廉。
私は慌てて、言いかけてた紫耀の言葉を遮る
私が声がデカすぎたのか廉は両耳を塞いでいる
私は必死に紫耀に目で訴え
それ以上言うなと言わんばかりに
廉にばれないように首を横に振る
紫耀はやっと分かってくれたのか
話を合わせてくれた
ケラケラと笑いバカにする廉。
必死に頭を回転させて廉に嘘をつく。
私の頭を撫で、大好きな笑顔で笑ってくれる廉。
その笑顔を見ると嘘をついた事に
罪悪感を覚え、廉に申し訳なく思う。
じゃあなーと紫耀にも言い廉は帰って行った。
不思議そうな顔でこっちを見てくる
私は誤魔化し教室を出て行く
紫耀は追いかけるように私についていく
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。