夢の中ーかな?
スゴく居心地がいい。
体も軽いし、自由に動く。
まるでー病気が治ってしまったかのように。
この体なら…体育祭出れるのになぁ…
これが現実ーだったらどんなに嬉しいことか
せっかくー体育祭の件聞こうと思ったのに
祐くんに会うから…変なことひなさんに
聞いちゃったよ
朝起きたらひなさんに聞こう。
ー体育祭くらい出たいもん
私が生きればー伸太朗と毎日笑っていられる
私が生きればー四人と一緒にいられる
私が死ねばーみんなは悲しむの…?
私が死ねばーきっと倒れる心配もないから安心する
私が死ねばーみんな苦労もしない
でもー
答えはもうとっくの昔に出ていたはずなのに何を
悩んでいたのだろう、私は。
こんなに簡単なことなのにー。
誰かに、私の恋を反対されてもがんばるから。
そう思い、そろそろ起きよう。そう思った
そうー、現実世界で目を覚ませばいいだけ。
それなのにー全く体が動かない。
夢の中から抜け出せないー。
一刻も早く、私は目を覚まして体調を治して
学校にいかなきゃ…。
一日も…一分も…一秒すらもっ!
私には…無駄にっできないっっっ!!!!
………………
看護師や、医師が慌ただしい。
ー204号室は何かが起こっている
きっとー飲ませなかったこの苦しみ…痛みに
耐えられなかっただろう
過去には現れなかった症状が今になって現れ始めた
きっとー進行具合が異様に速くなっている
現場の空気はー最悪だった…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!