しげと望は入院になって、色々な仕事を先延ばしにしてもらった。
しげの両親に連絡しようとしたらしげに止められた。
ーせっかく新しい生活始めたばっかやのに、心配かけたくない
って。
いつもみたいに点滴に繋がれたしげの隣に、離れないようにずっとそばにいたら、
しげが不思議そうな顔をした。
なんて笑うしげ。
ちゃうねん。
逆やねん。
しげじゃなく、俺がどこかへ行かないために。
個人の仕事もなかった淳太君と照史と流星は、久々の検査や入院でまいってる望のそばにつきっきりで、
ここには俺しかいない。
しまいにはしげまで「小瀧の所行ったったら?」なんて言うし。
じゃあお前はどうなるねん。
一人やんか。
しげが寝返りをうって俺の方を見る。
そう言うと、しげはふふっと笑った。
そう言って眠たそうに目をうつらうつらさせてる。
握った手をゆっくりさすると、しげは頷いてすぐに眠った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!