淳太が聞くと、しげがう~ん、と悩んだ後顔を上げた。
しげがいうと、みんなの「おぉー!」って声が響く。
口々にそう言っては頷く。
しげは、そんな俺らを見てふふっと微笑んだ後、
「でも」
と僕らを見た。
・・かな?って恥ずかしそうに笑ったしげに、その時流れた静かな沈黙は、一体なんだったんやろう。
しげが急に明るく笑った。
しげを見て望が手を上げた。
みんなが一斉に吹き出して、それからしばらく、くだらない案ばかりが出て、
「もうやめてや」なんて笑いすぎて泣きそうな声が聞こえた頃、
ってしげを見る。
ひとしきり笑った後、しげが、
と俺らを見た。
しげは、俺ら1人1人を見て、笑って、手を真ん中に差し出した。
俯いて言ったしげは、顔を上げて、「・・どう?」と恥ずかしそうに俺らを見た。
それいいねって、盛り上がるんじゃなく、
静かに全員が手を重ね合った。
「じゃあ、いい?」しげの声に、みんなで頷いて、
しげの掛け声と一緒に、「おー!!」って大きな声が響いた。
その少し後に、きっと最後なんやろう、ひときわ大きな花火の音が響いた。
ほんの少し、顔を合わせた後、ふっと吹き出す。
一瞬だったかもしれない。
それでもきっと、全員が思った。
俺ら7人、これからずっと一緒にいれる。
おじいちゃんになって、みんなしわだらけやのに、
みんなでまた、笑いあって新しいしわつくろうなんて、
そんな未来が、
見えた気がした。
それが、たとえ夢の話だったとしても、
俺ら、これから先、何年だって先も、
ずーっと、一緒にいたい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。