第89話

濱田side
1,104
2019/04/30 13:47
淳太が聞くと、しげがう~ん、と悩んだ後顔を上げた。
重岡
コンサート、今回は大阪だけやし、次はもっといろんな所でしたいな。ドームとかやりたい!
しげがいうと、みんなの「おぉー!」って声が響く。

流星
でっかいところいったな
小瀧
それはほんまに夢の話や~
桐山
でもめっちゃやりたいよなぁ
口々にそう言っては頷く。







しげは、そんな俺らを見てふふっと微笑んだ後、


「でも」


と僕らを見た。





重岡
俺の1番の夢は、


ずーっと、みんな一緒にいること。


ずーっと、笑ってること。


・・かな?って恥ずかしそうに笑ったしげに、その時流れた静かな沈黙は、一体なんだったんやろう。






重岡
なぁ!なんかみんなで約束せえへん?ジュニアの時みたいに!
しげが急に明るく笑った。
重岡
なんでもええねんけど、なんかしたいやん?こういうん、グループっぽい。
小瀧
じゃあさ、俺提案してもええ?
しげを見て望が手を上げた。
小瀧
照史のダイエット成功させる!目標-30キロ!
桐山
おい!30キロも減ったら俺どうなるねん!ていうか今何キロや思ってんねん!
小瀧
え・・?100キロ・・?
桐山
俺は力士か!!
みんなが一斉に吹き出して、それからしばらく、くだらない案ばかりが出て、


「もうやめてや」なんて笑いすぎて泣きそうな声が聞こえた頃、
小瀧
やっぱり、こういうのはセンターや
ってしげを見る。




重岡
んー・・じゃあさ、朝ご飯は毎朝ご飯とみそ汁!
中間
おかしいやろ!今真面目な空気ながれたやん!
流星
俺パン派やのに―・・
重岡
もう何があってもご飯とみそ汁。今日味噌ないのにって日でも。
濱田
それどうするねん
重岡
味噌みたいな色のもん入れる
中間
買えばええやん!




ひとしきり笑った後、しげが、
重岡
じゃあ、真面目に言ってもええ?

と俺らを見た。






しげは、俺ら1人1人を見て、笑って、手を真ん中に差し出した。







重岡
・・多分、これから先、いろんな壁があると思う。



悲しいことも、



あるかもしれん。





でも、ずっと笑ってること。

泣いてもええねん、でも、


最後は、ちゃんと笑顔になること。


俯いて言ったしげは、顔を上げて、「・・どう?」と恥ずかしそうに俺らを見た。




それいいねって、盛り上がるんじゃなく、



静かに全員が手を重ね合った。





「じゃあ、いい?」しげの声に、みんなで頷いて、



しげの掛け声と一緒に、「おー!!」って大きな声が響いた。






その少し後に、きっと最後なんやろう、ひときわ大きな花火の音が響いた。




ほんの少し、顔を合わせた後、ふっと吹き出す。




小瀧
なんやねん、これ!
流星
しげの掛け声分けわからん!
神山
恥ずい!






一瞬だったかもしれない。



それでもきっと、全員が思った。







俺ら7人、これからずっと一緒にいれる。



おじいちゃんになって、みんなしわだらけやのに、

みんなでまた、笑いあって新しいしわつくろうなんて、




そんな未来が、


見えた気がした。






それが、たとえ夢の話だったとしても、







俺ら、これから先、何年だって先も、








ずーっと、一緒にいたい。

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