第34話

近くの味方
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2018/08/16 08:16
気付けば、荷物と一緒に元の部屋にいた。
三鷹琉依
……。
またここか…
白いワンピースに白い短パン、いつも姿だ。
脱走…私には無理だよ……
私はそう諦め、元の生活へと戻った…

















9年後…
私はもう25歳。
高校を卒業した私、大学に行くことなくあの
部屋で暮らし続けていた。外に行くことが
無くなったから部屋から出ることも無くなり
夜は暴力を受け、耐え続ける。
そんな日常を送っていた。
そういえば、もう天才ゲームから9年だっけ…
みんな、元気にしているかな…
スマホのカレンダーを見てそう思う。
そろそろ起きないと朝ご飯の時間…
今は6:53。朝ご飯を部屋に持ってきてくれる
のは7:00だ。
私は渋々布団から出ると、机を部屋の真ん中
に引っ張り出す。
三鷹琉依
……。
ここの食事は無駄に栄養バランスがいい。
朝からコーヒーとケーキっていうのは、あの
ゲームの時だけだ。


粗末な物でも食べさせたらいいのに…
見張り
おはよう、朝飯だ。
三鷹琉依
おはようございます…
いつもの見張りの人が入って来て、机の上に
お盆を置く。そこに乗っていたのは…
…コーヒーとケーキ。
三鷹琉依
何で朝から…?
見張り
…コーヒーとケーキが好きじゃ
ありませんでした?
そう言われ、ぱっと見張りの人の顔を見る。
いつも通りのニット帽にマスクだ。
三鷹琉依
まさか…
ニット帽を取り、マスクを取った。
ジン
お久しぶりです、琉依様。
三鷹琉依
いやいや、何でジンが…
ジン
見張りはずっと私でした。
クレア様から琉依様をここから
逃げさせるように言われたので
今から逃げてください。
三鷹琉依
枷があるから無理だって。
ジン
生憎、鍵はありません。しかし
チェーンなら切りましょう。
ジンはそう言うと、巨大なペンチで鎖の1つ
を歪ませ、鎖を切り離してくれた。
三鷹琉依
嘘…
ジン
他の奴らは出かけています。
逃げるなら今です。
三鷹琉依
け、けど、ジンは…?
ジン
私も役目を終えたのでここから
は逃げます。スマホの充電は、
満タンでしょうし、多少のお金
なら私が渡します。
そう言い、小さめの鞄を私に渡してくる。
ジン
…服はそれしかありません。
いつかまた会える日がありまし
たらその時はよろしくお願いします。では、琉依様。お気をつけて。
三鷹琉依
え…あ、う、うん!!
イマイチ状況は呑み込めないが、ここで引き
返すことも難しいので私は鞄を受け取ると、
裸足で部屋を出て、外へ。
そして、何処かへ走り出したのだった…

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