第6話

第一章 告白-4
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2018/10/31 09:30
翌日。
折坂くんの告白のことばかり考えて殆ど眠れなかった私は、しぱしぱする目をこすりながら学校までの道を歩いていた。
そこまで考えなくてもよかったのかもしれないけど、何故か折坂くんは早めに返事がほしいと言っていたから……。
漫画とかだと、普通告白した後って「返事はいつでもいいから、ゆっくり考えて」っていうのが常套句だと思ってたけど。
そうじゃないパターンもどうやらあるらしい。
でも……折坂くんが返事を急ぐ理由って何なんだろう?
「時間がないんだ」って言ってたけど……あれは一体どういう意味なんだろう。
長谷部鈴
長谷部鈴
(……あ)
教室に一歩足を踏み入れた私は、目に飛び込んできた折坂くんの姿を見てドキリと胸を弾ませた。
折坂くんは自分の席に座っていて、隣の席の男子と楽しそうに笑いながら話をしている。
彼の顔を見た瞬間、半分寝ていたような脳が一気に覚醒したのだけど。
私に気付いていないのか、あえて気付かないふりをしているのか、折坂くんはこちらを見向きもしなかった。
亜美
リン、おはよ
背後から肩を叩かれ、私はハッと我に返る。
振り返ると、亜美が不思議そうな顔で小首をかしげた。
亜美
どしたん。こんなとこで突っ立って
長谷部鈴
長谷部鈴
あっ……、お、おはよ
私は慌てて止めていた足を動かし、自分の席へと向かう。

……な、なんか。
告白した折坂くんより、告白された私のほうがバリバリ意識しちゃってない……?
向こうはいつもと様子、変わんないっぽいし。
窓際の一番後ろの自分の席に腰を下ろした私は、ちょっと怪訝な思いでもう一度チラッと折坂くんに視線を投げた。

────だけどやっぱり折坂くんは私のことなんか気にも留めていない様子で、数人の男子と談笑を続けていた。
長谷部鈴
長谷部鈴
(……わざと?)
告白どころか、恋愛経験すらほとんどない私は、彼の態度に若干の混乱を覚える。
こういう知識って全然なくて、また漫画の話になるけど。
普通なら告白した次の日、教室に入った瞬間に目が合って、お互いにドキッ、みたいな。
そんで同時に照れて、サッと目を逸らす……みたいな?
そんな感じだと思ってたのに。
……まぁ、周りに知られたくないっていうのもあるし、わざと知らんぷりするのは、案外リアルな反応なのかも……?
授業が始まり、私は頰杖をつきながら前方に座っている折坂くんの背中をぼんやりと見つめた。

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