死Ver.
あなたの下の名前side
刀也との電話を切った後、刀也への手紙を書く。所謂、遺言書のような物だ。
書いている時に感情が高まり、涙が溢れてくる。
せっかく書いたのに、涙で滲んで見えないじゃん。
まぁ、刀也なら伝わるだろう。
あと3年で10年。
やっぱ10年間一緒って難しいや。
もう終わり、と思うと少し悲しくなってくる。
俺の人生、案外楽しかった。
ただちょっと辛いことが多かっただけ。
手紙の最後に『またね。』と書いて終わる。
さぁ、もうおしまいにしよう。
ベランダに出る。
最後に少し、空だけ見たい。
しばらく空を眺めていると、息をきらした刀也が来る。
ちょっぴり微笑んでみる。それでも刀也の表情は変わらない。
ベランダの端に立って刀也の方を向く。
そう言って俺は後ろに倒れ込む。
刀也は走ってきて俺の手を掴もうとするが、惜しくも届かない。
俺は悔しそうな刀也の顔を見て微笑む。
これは今俺が表せる最大の感情である。
トラウマになっちゃうかな、ごめんね。
それを最後に俺は目を閉じた。
とうや、あいしてたよ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!