カイトが少しだけ真剣な眼差しでそう言うと、持っていたリュックを肩に担ぎ直した。その瞳には、さっきまでの茶目っ気とは違う、リーダーとしての頼もしさが宿っている。
レイナが冷静に頷き、ケンジを冷徹な目で見下ろした。
ケンジは悔しそうに拳を握りしめたが、レイナが生徒会長として持つ「権力」の重みと、レンの殺気立った視線に押され、小さく舌打ちをして後ずさった。
ケンジは捨て台詞を残すと、翻って逆方向へと消えていった。黒い紋章の欠片が、廊下の角で一度だけ妖しく点滅したのを確認して、ハルカは小さく息を吐いた。
ハルカが安堵の表情を見せると、レンがふんと鼻を鳴らした。
レンは蛇を懐に収めると、背を向けて歩き出した。
カイトは「おっし、ド派手に行くぜ!」といつもの笑顔を取り戻し、アカリやユウタもそれに続く。
時計の針が、始業の時間を告げる鐘を刻み始める。
校舎の屋上から響くチャイムの音を聞きながら、5人は何事もなかったかのように教室へと向かった。
しかし、彼らのポケットの中には、隠し扉の先で得た地図が、先ほどよりも少しだけ強い鼓動を刻んでいた。
日常の授業が始まる。だが、彼らの学園生活は、すでに「非日常」の渦へと足を踏み入れていたのだ。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。