海人side
その次の日、旅行の話は、
メンバー全員に知れ渡った。
もちろん、
あなたが参加することも知らされた。
(まだ了承は得てない)
が、旅行の理由は、
休養をとるためだと伝えられた。
後に俺が、蘭に本当の理由を
言わなかった訳を聞くと…
ということだった。
正直、あのマネージャーは、
危険な感じがする。
まぁ、だからといって、
あなたに、旅行に来るなとは言えないし、
俺がどうにか出来るわけでは無いけど…
このことも、一通りあなたには伝えたが、
あのマネージャーは、
本当に何を考えているのか、
よく分からない。
何事もなく終わればいいけど…
︎︎
あなたside
午後5時
私が食料の買い出しに向かっていた時だった。
見覚えのない美人な女性が、
いきなり話しかけてきたのだ。
この女性が、
私の代理のマネージャーだとすれば、
今日話しかけてきたのは、
恐らく旅行のこと。
海人からも聞いてる。
所々怪しい言動があるから、
注意して…と。
しかも、確かこの人、結構鋭かったはず。
なら、無闇に探りを入れるより、
今は知らないフリして、
やり過ごすのが吉。
私はそう感じた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!