第98話

再起④
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2019/04/15 09:34


「はぁ……身体バキバキ」
 そう言って、伸びをした。
「やっと自由になった。……さすがに身体がなまったな」
 まるですべてを吐き出すように、息を吐く。斜め後方から私はユウを眺めた。
 少し伸びた髪の隙間から見える彼の表情。わずかに頬を緩ませたその顔は、疲労の影すらも見えない。
 ユウ……あなたはーー。
 息を飲む。私は、ただユウのほうを見つめた。
「さぁて……」
 彼の動きが止まった。そして、桜子のほうを振り返った。
「桜子ちゃん。よくも、まぁ、ここまでやってくれたよね」
 そう語りかけたユウの顔は笑顔。けれど、目は笑っていない。
「っ……」
 桜子の肩が揺れた。依然として、ユウはニッコリと笑っている。
「言いたいこと、山ほどあるんだよね」
「……ユ、ユウ」
 怯えた表情を浮かべる桜子。ユウは彼女のほうへ歩み寄った。
「ま、まって」
「いいや、待たない」
 そして首を掴むと、勢いよく壁に押しつけた。
「ぅ……ッ」
 うめく桜子にユウが耳もとでささやく。
「まさか薬を打たれるとは思ってなかったな。正直油断してたよ。ていうかさ、僕がラリってる間、何回僕とヤッたの? 何回僕を凌辱したわけ?」

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