第6話

看護師・久保田慧さん②
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2020/01/03 11:06

「……すいません。失礼でしたよね」
 久保田さんを見つつ、焦りながら声を発した。

「いいえ、そんなことないですよ。気になりますよね、年齢って」

 久保田さんは微笑みながら、優しく私に話しかけてくれた。

 優しいな、本当は失礼なことなのに。

「…そうですね。気になりますね」

 そう言って、なぜか上を見上げてから私に話した。

「…僕、こう見えて、26歳です」

 上を見上げてから、私の顔を見た。

「…そうなんですね」

 私は一言しか久保田さんに言えなかった。だって、年齢を聞いても、素敵な人だって思ってしまった。

 看護師の久保田さんではなく、男性の久保田さんとして。

 この気持ちは、ただの陽性転移なのに。
 なんでその些細なことで、ドキドキしてるの。

「…花野さん。どうしました?」

 久保田さんは心配そうに私を見てきた。
 そんな顔をしないでよ。

「…大丈夫です。質問に答えてくれてもらって嬉しいです」

 私は久保田さんに言ってから、笑顔で答えた。
「そうですか。それなら、良かったです。では」

 久保田さんは片づけを終えて、ペコッと頭を下げて、出ていった。

 ため息をつきながら、私は今の時刻を確認した。7時五十分。

八時から朝食だから。あともうちょっとで、准看護師の方が持ってくるはず。

 やっぱり、これは陽性転移なのかな。

優しくされたからって、好きになったわけじゃない。

私が疲れているかもしれないし、気のせい、気のせい。

 そう心の中で自分に言い聞かせていたら、准看護師の方が食事を持ってきてくれた。
 ご飯を食べて、テレビを見ていた時、担当医の木本先生が来た。

 木本先生は、外科の先生で唯一の女の先生だ。前、他の看護師さんが私に言ってたな。木本先生の後ろには、研修生の男性二名がいた。

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