夜の静寂を切り裂いて、風が吹く。その中央に、彼女は立っていた。星野 灯莉。星野燈 の実の妹。そして、敵。
灯莉はまっすぐに姉を見つめ、冷たく口を開いた。
灯莉はふっと微笑む。それは、紅葉 が今までに見たどんな敵の顔よりも、静かで、揺らがなかった。
燈は答えなかった。だが、その手の中で炎が灯る。それは彼女の怒りか、哀しみか。もしかすると、希望か。
灯莉はその言葉に合わせるように、ゆっくりと一歩踏み出した。
その言葉は、姉への慈しみではなかった。姉だからこそ、一撃で倒すのはつまらないそんな計算が、彼女の瞳にあった。
燈の周囲に、業火が咲き乱れる。炎が夜を裂き、灯莉の目前まで達するが。
灯莉の周囲に、白と黒が混ざり合ったオーラが展開される。炎はその光に吸い込まれ、煙のように消えた。
灯莉は一歩も動かず、ただ姉を見据える。やがて、小さく呟いた。
空間が再び歪む。灯莉の身体は、闇と光の渦に包まれて消えた。
戦いの後。屋上で風に吹かれながら、燈は壁にもたれて座っていた。
風が吹き抜ける。この空の下、たった一人の妹が、敵となって立ちはだかる。
皆が、うなずく。この戦いは、単なる怪物退治ではない。正義同士の戦争なのだ。


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。