第2話

第二話
7
2025/07/17 09:50 更新
夜の静寂を切り裂いて、風が吹く。その中央に、彼女は立っていた。星野 灯莉あかり。星野ともり の実の妹。そして、敵。
星野燈
星野燈
……嘘、だよね……。なんで……なんで灯莉が、そっち側に……!
灯莉はまっすぐに姉を見つめ、冷たく口を開いた。
星野灯莉
星野灯莉
そっち側って何?私は、正しい道を歩いてるだけ。少なくとも……あなたたちよりはね。
朝霧紅葉
朝霧紅葉
自分の意思で敵に回ったって言ったわね。本気なの?
灯莉はふっと微笑む。それは、紅葉もみじ が今までに見たどんな敵の顔よりも、静かで、揺らがなかった。
星野灯莉
星野灯莉
ええ。私はもう、守られる側には戻らない。私が選んだ正義を通すだけあなたたちを滅ぼすために。
黒神いろは
黒神いろは
ほらきた。正義の多様化ってやつね。私、こういうのキライじゃないわ。
天草梨花
天草梨花
でも……燈ちゃん、つらくないの?妹が……本当に、こっちを敵って思ってるなんて……
燈は答えなかった。だが、その手の中で炎が灯る。それは彼女の怒りか、哀しみか。もしかすると、希望か。
御影澪
御影澪
……この場は不利。相手の能力も未知数。撤退すべき。
灯莉はその言葉に合わせるように、ゆっくりと一歩踏み出した。
星野灯莉
星野灯莉
逃げてもいいよ、お姉ちゃん。今はそのほうがいい。まだ心の整理、できてないでしょ?
その言葉は、姉への慈しみではなかった。姉だからこそ、一撃で倒すのはつまらないそんな計算が、彼女の瞳にあった。
星野燈
星野燈
……なに、それ。ふざけないで!
燈の周囲に、業火が咲き乱れる。炎が夜を裂き、灯莉の目前まで達するが。
星野灯莉
星野灯莉
 闇光融合 ダーク・ルミナンス
灯莉の周囲に、白と黒が混ざり合ったオーラが展開される。炎はその光に吸い込まれ、煙のように消えた。
黒神いろは
黒神いろは
……あれは……光と闇、両方の属性を同時に……?
朝霧紅葉
朝霧紅葉
彼女の力……相当よ。まだ本気じゃないはずなのに、これだけの精度……!
灯莉は一歩も動かず、ただ姉を見据える。やがて、小さく呟いた。
星野灯莉
星野灯莉
この街はもうすぐ終わる。でも安心して。お姉ちゃんには……ちゃんと最後を見せてあげるから。
空間が再び歪む。灯莉の身体は、闇と光の渦に包まれて消えた。
戦いの後。屋上で風に吹かれながら、燈は壁にもたれて座っていた。
星野燈
星野燈
……あの子、笑ってた。すっごく、楽しそうに。
天草梨花
天草梨花
私には、悲しそうに見えたけどな……
風が吹き抜ける。この空の下、たった一人の妹が、敵となって立ちはだかる。
星野燈
星野燈
奪われたんじゃない……あの子は、自分で選んだ。だったら、私も……戦うしか、ないんだよね。
朝霧紅葉
朝霧紅葉
私たちが正義を掲げる限り。彼女とも、戦う覚悟を持たないと。
皆が、うなずく。この戦いは、単なる怪物退治ではない。正義同士の戦争なのだ。

プリ小説オーディオドラマ