かつて教室だった場所。今は瓦礫と沈黙に支配された廃墟の中で、一人の少女が佇んでいる。
灯莉はぼそりとそう言う。足元には、ひび割れた机と焦げた黒板。懐かしさと、どうしょうもない違和感が胸を締めつける。
ふわりと現れたのはコードネームフロスト・ヴェイルこと白井玲奈。敵側のリーダー格であり、灯莉にこの闇の陣営へ誘った張本人だ。
玲奈は冷たくそう言った。
灯莉は迷いのない目でそう言った。玲奈は薄く笑い、窓から外を見下ろす。遠くに灯る、かつての仲間たちの炎。
玲奈は皮肉っぽくそう言った。灯莉の手が、無意識に制服の胸元を握りしめる。
その時、遠くから聞こえる振動。空が揺れ、空間が歪み、誰かの転移が近づいてくる。
玲奈が軽く手を上げると、闇から生まれた黒い獣たちが姿を現す。全ては陽動、時間稼ぎ。
灯莉は、黙って目を閉じた。玲奈が言う世界が何を目指すのか灯莉自身もまだ知らない。
一方、陽動に気づいた紅葉たちは、分散していた。
通信越しにいろはがそう言うが一瞬通信が乱れた。
その言葉に、紅葉は息をのむ。
その瞬間いろはの前に現れたのは白井玲奈だった。
笑いながら玲奈はそう言った。
玲奈の笑みが、微かに歪む。だが次の瞬間、闇がうねり、二人の激突が始まる。
空に向かって灯莉はそう言った。朝焼けが、灯莉の背中を淡く照らす。光と影、その両方を背負って戦う灯莉は、笑っていた。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。