第6話

#6ㅤ-気づけば君はいつも通り-
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2025/09/19 09:25 更新




ㅤという一連のやり取りを終え。薄着のまま急いで出たので体がすっかり冷えきってしまっていた私は、忙しいで暖を求めリビングに戻る。

ㅤご飯ができるまであとどれくらいか分からないし、ココアでも飲みながら待ってようかな……なんて考えながら。
千春
千春
ねぇ
梨央
梨央
ちーちゃん? そこにいたの?
ㅤその声で、ずっと後ろに千春がいたことを知った。ギリギリ外からは見えない位置で、様子を伺っていたらしい。

ㅤ私も行く、という言葉通りほんとに気になってついてきてしまったのだろうか。なんだか可愛いな。

ㅤでも千春は、見覚えのある暗い表情を張りつけている。
千春
千春
翠希ちゃんって今日会った子?
梨央
梨央
そうだよ、髪短い方の子
千春
千春
何の話してたの?
ㅤ……数秒前と全く真逆のこと言うけど、そう無表情で淡々と問い詰めるような様はなんだか不気味だった。普段の千春を知っている分、少しゾクッとした。

ㅤ今改めて思えば、千春に対して正体不明の違和感のようなものを抱き始めたのはこのくらいの時期だったかも。
梨央
梨央
忘れ物届けに来てくれただけだよ
千春
千春
……そっか
ㅤ特に隠したいこともなかったので会話の内容をそのまま伝えると、それで納得してくれたのか千春はあっという間にいつもの柔らかい雰囲気に戻っていた。

ㅤ千春は分かりやすくコロコロと表情を変えるけど、それでも考えてる事は完璧に読み取れない不思議な子だ。

ㅤこのモヤッとした霧みたいな気持ちの正体はなんだろう。千春はそう考えにふけようとした私の手を取り、一緒にテレビの続きを見ようと優しい力で引っ張る。私もそのあっけらかんとした調子に飲まれてしまう。
・・・

ㅤそれから30分と経たないうちに夕食の時間になった。ダイニングテーブルにかけると、当たり前のように千春が私の隣に座り、その前に私の両親という席順。

ㅤ目の前には天日干ししたばかりのお布団みたいな、ふかふかの卵が乗せられたいかにもなオムライス。この黄色いキャンバスの上にケチャップでちょっとした絵を描くのが何気に楽しい。今日は何となく猫を描いてみた。

ㅤそれをじっと見ていた千春も、私が置いたケチャップを手に取り真剣そうに赤を垂らしていく。浮かび上がったのは、所々線が途切れていたり、力加減が難しかったのか線の太さが不安定で歪なハート。
梨央
梨央
千春の真似しっ子〜
梨央の父
我ながら千春ちゃんは梨央と仲良しだね〜
千春
千春
全部りっちゃんと同じがいいから……
ㅤ私の後をついてきたり何でもかんでも真似をする千春は、同い年のはずなのになんだか妹みたいで可愛い。お父さんがそう言って笑って、千春も小さく笑って、私も照れくさくて誤魔化すように笑う。




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