〈sideあなた〉
それにしても悟が来ない。任務でも行っているところだったのだろうか。
岡野)「…あれ?」
岡野さんが首を傾げた。
前原)「どうしたんだ?岡野」
岡野)「あ、いや…スマホ、圏外になってるからママに連絡出来ないなって思って」
スマホが圏外、?さっき悟や烏間先生に連絡した時はスマホは使えてたはずなのに。
慌ててスマホを確認する。しかし確かに…『圏外』だ。
茅野)「ここ、一応渋谷だよね…?地下とはいえ、圏外になんてそう簡単になるのかな、」
茅野さんの言うとおり。地下と言えどここは東京の渋谷。そう簡単に圏外になるはずがない。
前原)「俺、上確認してくるわ」
赤羽)「はぁ…前原は馬鹿なの?この死神放って地上に行ける?」
前原)「それはその、分担して…」
磯貝)「カルマの言うとおりだ。圏外で連絡が取れない以上二手に分かれて、動いてはぐれるのが1番マズい…」
みんなに動揺が広がる中、私は思考を巡らせていた。そして行き着いた答え。1番最悪な状況かもだけど、1番こうなっている可能性が高い。
天城)「もし…」
片岡)「どうかした?天城さん」
天城)「もしも、私の予想が外れてないなら…ここには帷が降りてる可能性がある」
潮田)「帷、?」
茅野)「帷って確か…術師が呪霊を祓う時に外から見えなくさせる結界みたいなものだよね?何でそんなものが、?」
天城)「分からない、でも…地下にいる今、照明が落とされてないってことは恐らく、電線が切れたとかではないと思う。予備電力に切り替わってる感じもしないし」
前原)「仮に天城の言うことが合ってたとしてよ…呪霊がいて、誰かが今祓ってるってことか?」
天城)「そこが謎なの。少なくとも今の私が感じることのできる呪力は私のもの以外ない…」
それこそ私が今1番違和感に感じているところだった。電波が絶たれている以上、何も情報を知ることができないのが難点だ。
天城)「スマホさえ使えれば…」
赤羽)「じゃあさ、あなたちゃんがWi-Fiルーターを作ったらどう?コンセントは花屋にならあると思うし」
天城)「…それだ!」
捕縛した死神の様子は見つつ、術式でWi-Fiルーターを生み出してコンセントに差す。しばらくすると、Wi-Fiのおかげでスマホが圏外でなくなった。と、同時に。
天城)「!?」
スマホに怒涛の勢いで訪れる数多の通知。その中でも1番最新の通知であった真希ちゃんに折り返しで電話をしてみる。
天城)「もしもし、真希ちゃん!」
真希)『あ?電話出んのおせーよ、てか今どこいんだよ!こっちは今大変だっつーのに…』
天城)「え、何かあったの、?」
真希)「まぁな。今渋谷の東急百貨店を中心に、半径400mくらいの規格外の帷が降りて…」
天城)「へ?」
真希)『それよりお前はどーなんだよ、今どこいんだ。散々私らで電話かけても繋がらねえし、まさか渋谷にいるんじゃねえよな?』
天城)「ま、真希ちゃん…実はいる、渋谷」
真希)『…マジかよ、お前』
天城)「渋谷駅の駅ナカビル地下2階、花屋の前にいるんだけど…」
真希)「駅ナカ?ガッツリ帷の中じゃんかよ…。今補助監督がフル稼働で渋谷のこと調べてる。あなたも加勢してくんねえか」
天城)「したい気持ちは山々だけど、私今護衛対象といて…」
真希)『チッ…民間人の安全最優先で頼む。そうだ、お前スマホで連絡ってまだ取れるか?』
天城)「いや、厳しいかもしれない。でも何かあったらこっちから電話かける」
そう伝えて電話を切る。
潮田)「天城さん…」
不安気味に渚くんが私を見る。
天城)「みんな…よく聞いて、ここは渋谷なんかじゃない。死神は置いて地上に向かおう」
茅野)「え?あなたちゃん、?」
天城)「今からここは…術師の戦場だよ」













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。