気が付くと、私は自分の部屋に居た。
何処をどうやって帰ったのか、記憶に無い。
花流の死だけが深く心に刻まれている。
私のせいだ。
私が花流と親しくしなければあの鬼は
花流を殺す事は無かった。
親しくしたとしても、あの鬼の事を教えておけば、
注告しておけば、もっと早く逃げられたかも
しれない。
私が殺したようなものだ。
私は生きていてはならない。
そう思った私は、常備薬をかき集めて
一気に煽った。
日輪刀を使おうかとも思ったが、
やはり日輪刀は人を守る為のものだ。
絶対に人を傷付けてはならない。
例えそれが自分自身であっても···。
師範の教えを破るわけにはいかない。
そう思い、薬を使った。
意識が朦朧とする。身体から力が抜けていく。
世界が暗転する。
そして私は倒れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。