第3話

3. 男子寮ってどういうことですかっ!!
572
2023/11/23 13:08
校舎内に入り,廊下を歩く。
すると,理事長室が見えてきた。
東 舜
東 舜
着いたぞ編入生。此処が理事長室だ。
華園 (なまえ)
華園 あなた
はっはい……!ありがとう,ございます……。
此処まで私を案内してくれたのにまた変な声で返答しちゃった……。

しかも重そうな扉を開けてくれたし……。
本当に優しそう………。

でも万が一がある!
油断禁物!!
東 舜
東 舜
理事長,失礼します。編入生を連れてきました。
扉の先にはクラシック調の部屋が広がっており,奥の席に1人の男性が座っていた。

お,男の人………。
でも大丈夫,理事長さんがこんなところで問題なんて起こすわけ無いし!!
うん!!
西園寺 崇仁
初めまして華園あなたさん,。理事長の西園寺崇仁です。
華園 (なまえ)
華園 あなた
は,初めましてっ…!
西園寺 崇仁
よく来てくれたね。編入試験を突破できる生徒が2人も来たものだから多少は驚いているが,教師一同全員歓迎しているよ。
“編入試験を突破できる生徒”って……,別に珍しくないんじゃないのかな………。

まあ良いか,取り敢えず返事しないと……。
華園 (なまえ)
華園 あなた
あ,ありがとう,ございます……!お褒めにいただき光栄です……!
西園寺 崇仁
どうぞ座ってくれ。君には少しだけ,この学園について説明させて貰うよ。
華園 (なまえ)
華園 あなた
わ,分かりました……!
私はそう言われ,理事長室にあるソファへと腰を下ろした。




西園寺 崇仁
……と,言うわけで,一通りの説明は終わりだ。途中に出てきた裏のことは……,後で舜にでも聞いてくれたまえ。
私は数分だが,一通りの説明をされた。

裏って何だろう………。
後で東先輩が説明してくれるらしいけど,変な反応をしてしまわないか不安だっ……。
西園寺 崇仁
それと……,君に一つ謝らなければ行けないことがある。
華園 (なまえ)
華園 あなた
えっ……?
突然声色を変え,顔をしかめた理事長。

あ,謝らなきゃいけないことって何…?
まさか入学手続きが出来てなかったとか……!?

いや流石にそれは無いか……。
西園寺 崇仁
この学園が全寮制なのは知っているね?
華園 (なまえ)
華園 あなた
は,はい…!
西園寺 崇仁
実は……,手続きのミスで,君は男子寮に入寮することになっていたんだ。
華園 (なまえ)
華園 あなた
………へっ…………。
だ,だだ男子寮……!?
嘘でしょ………。
東 舜
東 舜
理事長またですか?そのミス先週もしてましたよね?
西園寺 崇仁
そうなんだよなぁ……。
華園 (なまえ)
華園 あなた
…え……!?
に,2回目ってこと……?
理事長先生,色々と大丈夫ですかそれ………。
西園寺 崇仁
それで急いで女子寮へ入寮し直そうとしたんだが,今年は新入生が多く,どうしても空きがなくて……。
華園 (なまえ)
華園 あなた
えっ,えぇっ,と……。
言われている意味も状況も分かってるけど,衝撃の事実に言葉を失う。

確かに私こんなですけど……,一応これでも女なのですが……。
西園寺 崇仁
増築作業も直ぐに執り行いっていて,あと半年間だけ我慢して貰えないだろうか……。
華園 (なまえ)
華園 あなた
………………。
理事長の言葉に,流石にすぐ「はい」とは言えなかった。
東 舜
東 舜
理事長……,二度目になりますが,正気ですか?これでも一応女子ですよ?
い,一応って……,庇ってくれてるんだろうけど,貶されてる気もするんですが………。
東 舜
東 舜
とゆうかもしかして,また生徒会専用寮に入れるつもりですか?
西園寺 崇仁
其処しか無いだろう?
東 舜
東 舜
……蓮はこの事知ってるんですか?
西園寺 崇仁
勿論知っているよ。怒っていたがね,ハハッ。
東 舜
東 舜
笑い事じゃないですって……。
れ,蓮……?
誰だろう………。

てゆうか,生徒会専用寮何てあるのっ……!
でも其処なら男の子もそこまで居ないよね……?

あれでも待って,先週もこのミスしたって……。
華園 (なまえ)
華園 あなた
あ,あの,もしかして……,女の子も1人居ますか?
西園寺 崇仁
ああ,もう1人女の子が来ているよ。
やっぱり……!
その子が居るなら,男子寮で生活しても良いかも。

でも出来れば隣にして貰いたい……。
華園 (なまえ)
華園 あなた
あの……,出来ればで良いんですけど,その子の隣の部屋って……?
東 舜
東 舜
その事なら安心してくれ。確か丁度一部屋空きがあった筈だ。
華園 (なまえ)
華園 あなた
そ,それなら……!
女の子が隣なら安心だ……!

私はそう思い,OKの意を示した。
西園寺 崇仁
そう言ってくれて助かるよ,これからよろしくね。
東 舜
東 舜
俺からもよろしく頼む。
華園 (なまえ)
華園 あなた
はい…!よろしく,お願いします……!
私はそう言って微笑みを返した。
西園寺 崇仁
今日はもう時間がなくてね。生徒会専用寮については舜に聞いてくれ。
華園 (なまえ)
華園 あなた
わ,分かりました。
西園寺 崇仁
他に質問はあるかな?
華園 (なまえ)
華園 あなた
あり……,ません。
西園寺 崇仁
そうか。それじゃあ,君が素敵な学園生活を送れるよう願っているよ。
華園 (なまえ)
華園 あなた
は,はいっ……!ありがとう,ございました……!
席を立ち,理事長に頭を下げる。

そして東先輩に促されるまま,理事長室を出た。
東先輩と歩いている内に,とても大きな建物が見えてきた。

こ,此処が生徒会専用寮,かな……?
凄い豪華……,高級マンションみたい………。
東 舜
東 舜
おい,えーと………。
華園 (なまえ)
華園 あなた
あっ,は,花園あなたですっ………!!
東 舜
東 舜
あなただな。此処が生徒会専用寮だ。
やっぱり此処なんだ……。

私これから此処に住むんだよね?
間違い無い,よね?
東 舜
東 舜
寮の生徒以外が入ればセンサーが反応するようになっているから,設備も問題ない。
華園 (なまえ)
華園 あなた
そ,そうなんですね……。
センサーまで着いていると言うことに驚きつつも,東先輩に着いていく。

エレベーターに乗り,最上階へと上がっていく。

そして廊下の角を曲がり,手前から見て2番目の個室の前へと立つ。
東 舜
東 舜
此処が今日からあなたに住んで貰う部屋だ。
東 舜
東 舜
そして生徒会専用寮以外の3年生の階へは行ってはいけない決まりとなっている。
華園 (なまえ)
華園 あなた
わ,分かりました。
東 舜
東 舜
今する説明はざっとこのくらいだ。楽しい学生生活になれると良いな。
華園 (なまえ)
華園 あなた
はいっ,今日はありがとうございましたっ……!
そうして私は東先輩にお礼を言った。
すると東先輩は軽く会釈をし,後者の方へと歩いていった。

あ,そうだ,もう部屋に入らなきゃ。

そう思いカードキーを差し込もうとした時,1個奥の個室から人が出てきた。
西園寺 蓮
西園寺 蓮
…………………。
華園 (なまえ)
華園 あなた
っ……!!
出てきたのは,高身長の男の人。

赤みがかったブラウンの瞳に,漆黒の髪の毛。
髪を整えたりアクセサリーを身に付けたりしているわけでもないのに,それでも目の前の男の人は綺麗だった。

うわぁ……,東先輩とはまた違ったイケメンさんだ……。

って,そんなこと考えてる場合じゃない……!!
何か凄く睨まれてるっ…!!
それに殺気も感じるんですがっ……!!
こ,怖い……………!!
西園寺 蓮
西園寺 蓮
………おい。
華園 (なまえ)
華園 あなた
は,は,い……,な,なな何でしょうかっ………!!
私が返事をすれば,眉間に皺を寄せ,不機嫌オーラ全開の様子を醸し出す男の人。

こ,怖すぎるよっ………!!

男の人が苦手な私にとって,今の時間は地獄かと本気で思う程だった。
西園寺 蓮
西園寺 蓮
……お前,編入生?
華園 (なまえ)
華園 あなた
は,ははい……,その,通り,です…………。
あまりの怖さに自然と視線は下へ行く。

それをどう受け取ったのか,舌打ちをされ,男の人は口を開いた。
西園寺 蓮
西園寺 蓮
……俺には用事がない限り,絶対に話しかけるな。騒いだりしたら追い出す。
そう言えば,さっさと横を通りすぎていった。

こ,怖かっ,たぁっ………!

私は安心からか,その場にへたりと力無くしゃがみこんでしまった。

意外と平和に暮らせるかと思っていた数分前の呑気な自分を恨んだ。
華園 (なまえ)
華園 あなた
これからどうなるの………!?
私は一人,誰も居ない静かな廊下でそう声を上げた。

プリ小説オーディオドラマ