第32話

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2024/03/10 14:16
おおはらMEN
おおはらMEN
てか、皆さん時間平気なんすか?
ドズル
ドズル
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
あ!
おらふくん
おらふくん
あっ!?
おんりー
おんりー
何その"あ"の三段活用
夏のときに比べれば日が暮れるのはまだまだ早い。
そんなことを少しずつ落ちている、朱色の日が伝えてくる。

段々と青色と赤色の境目が見えなくなる空を見て、思い出したように言うと、三人は口を開けて間抜けな面を見せる。
おおはらMEN
おおはらMEN
皆さんの住所教えていただければ送りますよ
おんりー
おんりー
それか許可を取って泊まるかになりますけど
言外にどっちにするかと問うと、ワイスくん…、いや、おらふくんが眼をキラキラと輝かせた。
おらふくん
おらふくん
え!お泊り!?僕泊まりたい!
ドズル
ドズル
僕も今から帰るのは面倒臭いな…
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
え、じゃあ俺も泊まる
おおはらMEN
おおはらMEN
それでいいんすか…?
二人が泊まるなら、と寂しがり屋らしいジュー…、じゃなくて、…ぼんさんが言う。
それに思わず呆れたような声で突っ込んでしまった。
ドズル
ドズル
というか気になるのは"送ります"って何???
おんりー
おんりー
そのまんまですけど?
えっと、ドズルさん、が大量の疑問符を浮かべて問うてくるのに、おんりーは極めて冷静に言葉を返す。

確かにそのままの意味なので、説明などあまり詳しくはできないだろう。
おおはらMEN
おおはらMEN
おんりーちゃんと俺が空間魔法使えばひとっ飛びってだけです
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
…やっぱ二人って規格外だよねぇ
ぼんさん、が染み染みとした様子で言うのに、おらふくん…が首を傾げた。
おらふくん
おらふくん
そうなんですか?
おんりー
おんりー
おんりー
おんりー
ワイスくんって軍人の家系じゃないっけ
おらふくん
おらふくん
うん、そうよ?
おんりー
おんりー
たまに思うけど、それにしては魔法のことあんま知らないよね
おんりーの言葉におらふくんは少し顔を顰めて唸った。
おらふくん
おらふくん
うーん、僕の家系、魔法よりもまず肉体から!って感じでね?
おらふくん
おらふくん
あんまし、魔法については教わってないんよ
おらふくん
おらふくん
やからこの学園に入って一から学ぶの、うちの家系、皆
ところどころ訛った言葉遣いでおらふくんは、自分の家系について話した。

そういうものなんだなと、一人納得していると、彼は「それよりも!」と鬼気迫る表情で言う。
おらふくん
おらふくん
僕はおらふくん!
おらふくん
おらふくん
おんりー、今"ワイスくん"って言った!
むすりと口を尖らせ、拗ねたように言う彼に、おんりーはたじたじである。
おんりー
おんりー
ご、ごめんね。忘れてた…、おらふ、くん
口に出すのが慣れないようで、つまりながらも彼の名前を呼んだ。
彼はそれに満足したようでニマーと笑う。

俺も気をつけないといけないな、と彼のことを呼ぶときのことを考えた。
ドズル
ドズル
それで、おらふくん
ドズル
ドズル
二人の言ってる空間魔法ってのは、単純に扱うのが難しいんだ
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
この間武器召喚してたけど、あれもその一種だよね
ドズル
ドズル
空間魔法系は物だけなら使えないこともないんだけど、人とかの生き物は難しくてね
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
あんまり使ってる人は見ないかなぁ
ぼんさんが、時々相槌や補足を入れながら、ドズルさんはおらふくんの疑問に答える。
彼等は、「あと、」と妙に強めの口調で笑った。
ドズル
ドズル
僕はドズル
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
俺はぼんじゅうる
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
そんで、おらふくんはおらふくん
ドズル
ドズル
もう間違えないよね???
ドズルさんの有無を言わせないような笑みに、初めて恐怖を覚えたように思えた。
俺達は全力で首を縦に振る。
何度も振るので残像も見えているかもしれない。
現におらふくんが「わぁ」と俺達の首の動きを見て、固まっている。
それに満足したのか、ドズルさんはもう一度優しげに微笑んだ。
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
じゃ、俺一応家に連絡したいんだけど、どうすればいいの?
おんりー
おんりー
あー、そうですね
おんりー
おんりー
ならうちの所にある電話使います?
おおはらMEN
おおはらMEN
飯はー、作り置きので良いすか?
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
食べれたら何でもいーよー
おんりー
おんりー
じゃ、ちょっと待っててください
おんりー
おんりー
何かあれば言ってくれていいので
おらふくん
おらふくん
わかったー!
ピッピッ、と横でMENがレンジをいじる。
俺はその間に食器や飲み物の用意をする。
少し経って、レンジが音を立てた。
コトッ
おんりー
おんりー
どうぞ
おおはらMEN
おおはらMEN
種類は多いですけど、一個一個は少ないんで
おおはらMEN
おおはらMEN
早い者勝ちで食べてください
ドズル
ドズル
オッケー、頂こう
そう言うや否や、彼等はパチンと両手を合わせた。

それを不思議に思っていると、一言。
ドズぼんおら
いただきます
おんめん
?…はぁ
本当に意味がわからず、疑問符を飛ばす俺達におらふくんが気づいた。
始めはきょとりとわからないようにしていたが、直ぐにわかったようで、「ああ!」と声を上げた。
おらふくん
おらふくん
二人は知らないのか!
おらふくん
おらふくん
あのね、東洋の方の先進国ではご飯を食べるときに、手を合わせて
おらふくん
おらふくん
『いただきます』
おらふくん
おらふくん
っていうの
おおはらMEN
おおはらMEN
『いただきます』…
MENがおらふくんの言葉を復唱した。
それにおらふくんは大きく頷く。
おらふくん
おらふくん
そ!
おらふくん
おらふくん
僕達は命を『いただいて』生きていくから
おらふくん
おらふくん
『いただく命』と『つくってくれた人』に感謝するんだって
「それが最近ここらへんでも浸透してるんだ」と彼は教えてくれた。
俺達は見様見真似で手を合わせる。
おんめん
い、いただきます…!
言い慣れないので少し吃ってしまったが、それよりも新しく知った言葉が面白いと思った。
『いただきます』なんて、あそこでは教わらなかった。聴かなかった。
出した夕食を全て平らげ、また手を合わせた。
今度は『ごちそうさま』と言うらしい。
もう一度、食材として食べた命や作った人へ、感謝するらしい。
初めてMEN以外の人と食卓を囲んだ。

いつもよりもご飯の味は濃くて、美味しく感じたのは何故なのか。

俺達にはまだわからない。
うる
うる
はい、前回の投稿から2週間ほど
うる
うる
遅いですね
うる
うる
アハ
うる
うる
我々だ好きなら見て
うる
うる
頑張るから、うん
うる
うる
じゃな

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