やっと2人の部活の休日が重なった日曜日。
伊月と2回目のお付き合いを始めてから初の休日デート。
行き先は、ちょっと遠いところにある遊園地。
前に一回だけ伊月と来たことがあった。
人が多かったけど、なんとか乗りたいアトラクションは制覇できた。
観覧車は並んでなかったからすぐに乗れた。
どんどん高くなって、人とか木が小さくなっていく。
急に真剣な顔でこっちを見つめてくる伊月。
このセリフは....前に1度だけ観覧車に乗った時の...
動揺を隠しつつ、当たり障りのない返事をする。
やっぱり記憶がなくても、伊月は伊月なんだ。
あの時と全く同じ場所で、同じセリフを言うなんて。
前に付き合ってた時のことが強烈に思い出される。
外を見ると、さっきとは比べ物にならないぐらい下にあるものが小さく見える。
さらにゆっくり上昇して、頂点にさしかかる。
伊月の動く気配がしたから、中に視線を戻すと、彼は私の隣に来ていた。
お互いの顔が近づいて、
一瞬だけ、唇が重なった。
言い訳でもするように、伊月はぼそっと呟いた。
懐かしいと思って当然。
伊月は前も、同じように言って、キスしたから。
ずっと一緒にいたいってあの時も言ったけど、結局別れたじゃん。
これ以上ないぐらい嬉しい言葉を言われたはずなのに、喜ぶどころか怒りすら覚えている。
楽しかったはずなのに、伊月と別れて家に帰ってから、泣いてしまった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。